100個以上のプロジェクトで300名以上のクラウドワーカーと仕事をしてきた、矢澤修氏に学ぶ! 効率的なフリーランスへの業務依頼を成功させるための秘訣とは?
| はじめに
今回から全2回にわたり、株式会社イースマイリー代表取締役の矢澤修氏のインタビュー記事を連載いたします。
現在に至るまで5年以上のフリーランスへのアウトソーシング依頼経験を持ち、それを基に数々の企業へのコンサルティングを行っている矢澤氏は、「クラウドソーシングで業務を圧倒的に効率化する ~虎の巻~」でフリーランスへの上手な業務の依頼方法をマニュアル化した方として有名です。
インタビューでは、虎の巻の内容にもある「企業がフリーランスにタスクを依頼する際に知っておきたい知識や方法、フリーランスマネジメント成功の秘訣」等について詳しくお話いただきました。
第1回目は、「フリーランスへの業務依頼時の心構えと依頼方法」についてです。
| 「自分にしかできない業務に注力してほしい」フリーランスへの依頼を進める道標
ー まずは「虎の巻」執筆に至った背景をご紹介頂けますでしょうか?
最近はフリーランスへの業務依頼をしている企業も増えてきていますが、はじめてフリーランスに業務を依頼する人には、顔も合わせず業務をお願いするのはハードルがとても高いことです。
一方、how toが分かってまずは一度フリーランスへの業務依頼ができればかなりハードルが下がりますよね。
採用が追いつかなかったり、社内の業務を効率化したかったりする場合は、専門スキルを持った=フリーランスにお願いしていくという考え方を広く浸透させるべきだと思っています。
それにより自分にしかできないことに注力する時間が生まれますよね。
今後、社会的にフリーランスと企業の協業を普及させていくために運用面で自分の得た知識やナレッジをシェアしていきたい、道標として使用してもらいたい気持ちで「虎の巻」の執筆に至りました。
| マニュアルを作ってフリーランスへの効率的な業務依頼を実現する
ー 実際の依頼方法についてお伺いさせて下さい。
弊社では、社内的にもクラウドソーシングを多用していますが、まずは、誰でも難なく仕事ができる環境をつくる必要性があると思っています。新しく入った方でも簡単に理解できて業務に取り組めるマニュアルがあれば、自社の業務もはかどりますので、これまでのマニュアルもそれを目標に作成してきました。
コツコツとマニュアルを作成してきたおかげで、前の会社でのフリーランスへの依頼も含めると、2014年くらいからの延べ5年のなかで、300人ほどへ業務依頼を行うことができました。
プロジェクトベースにすると、100個ほどになるでしょうか。
基本的に、まず自分でやらなくても良いなと思ったものは、フリーランスの方への依頼に出すことにしていますね。
具体的には、コツコツ作業系の営業リスト作成・キーワード検索などの情報収集系作成業務や、データ起こし、評価作業などです。また、各種リサーチ業務もお願いしています。インターネットが使えて、スプレッドシートに書き込める人であれば誰でもできる業務なので、基本的なやり方さえわかれば、同じ質での納品が見込めます。
コツコツ系以外にスキル系の業務もお願いしてますが、こちらはデザイン、ライティング、開発、映像制作、翻訳、ナレーション、CMS関連などの内容となります。
ただし、外注すべきは、自分で一生懸命覚えるのには時間がかかりそうな、専門的なスキルが必要な業務が適していると考えています。
マニュアルのレベル感は業務によって異なりますが、基本的に全ての業務でマニュアルを作成しています。
理由としては、マニュアルがなく外注をしてしまうとアウトプットの質にムラが出てしまうこともありますからね。
単純作業で一見マニュアルの必要がない作業も、汎用性のあるベースを作っておけば少しチューニングするだけで似た仕事のマニュアル作成の時に役立ちます。逐一新たに作る必要がないので、効率的です。
同じコピペ作業でも少しだけ内容が違うこともある。マニュアルがあれば確実に業務を進めていただけます。
フリーランスへの業務依頼時には、マニュアルの提示と仕事に対する明確なフレームワークの作り込みを最重要視していますね。
| 抜け・漏れのないマニュアルができるまで
ー マニュアル作成の重要性がよく理解できました!
社内の誰が作成しても完成度の高いマニュアルに仕上げる方法はありますか?
最初は私自身で様々な業務に関するマニュアル作成を行ってきました。
ただ、現在は社員や未経験からはいったインターンの方もマニュアル作成ができる様な環境づくりを積極的に行っています。実際にこういうプロジェクトをやるからまず作ってみて下さい、という依頼をすることも業務の一環としてあります。
その際、社内には既存のマニュアルがたくさんあるので、それを見て作業をしてみて、どこが理解できずにつまってしまったのかを体感してもらい、改善したいポイントを考えてみてもらうことで、実際に自身でマニュアルを作る際に大いに役立ちますね。
また、グループを作ってマニュアルをシェアする取り組みも行なっています。例えば3人でグループになってもらい、それぞれ別のマニュアルを作成する。それを交換して作ったマニュアル通りにやってみて、マニュアルのどこがわかりやすいかをフィードバックしあうのです。
その作業を行うことにより、マニュアルの不備などに気づくことができ、修正を入れていくことができるので、それを二周すると内容が精査されていきます。やはり、マニュアル内容のテストは必須ですね。
| まとめ
第1回目の記事では、フリーランスへの仕事依頼時の初歩的な心構えから実際の業務マニュアル作成時のポイントについて、矢澤氏のお話をご紹介してまいりました。
長年フリーランスへの業務依頼をしてきた矢澤氏のナレッジを参考に、まずはコツコツ業務からアウトソースしてみてはいかがでしょうか。
「自分でなくてもできる業務」を減らして、空いた時間でご自身にしかできない本質的な仕事へ取り組める時間を増やしてみてくださいね。
| プロフィール
株式会社イースマイリー 代表取締役社長 矢澤 修様
大学では社会福祉を学んでいたが、より広い視点を持ってるようにインターネットの世界で10年間ビジネスを学び、その後、保育園をつくる夢と、子育てにおける社会課題を解決するべく株式会社イースマイリーを創業。同社では、動画制作、日々の情報収集や記事のライティング、文字起こしや翻訳など、様々なプロジェクトをこれまでに100プロジェクト以上、300名近いクラウドワーカーと仕事を行い、少人数のチームながら2年間で2,000本近くの動画を制作。その中で培ってきたアウトソーシングのノウハウを基に、企業の業務改善のコンサルも行う。