下請法に沿った発注書(注文書)の書き方を解説
外注業者やフリーランス・個人事業主に仕事を発注する場合、メールやチャットツールでの連絡だけで済ませていませんか? 下請法が適用になる取引においては基本的に、親事業者(発注者)から下請事業者(受注者)へ発注書(注文書)を交付しなければいけません。発注書に決まったフォーマットはありませんが、「下請代金支払遅延等防止法」(以下、「下請法」といいます。)によって記載すべき事項が定められているので、書き方は確実にマスターしておきましょう。
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■下請法とは?
下請法とは、経済的に優越した地位にある親事業者(発注者)の濫用行為を規制することにより、下請取引の公正化を図るとともに、下請事業者(受注者)の経済的利益を保護することを目的とした法律です。
下請法では、親事業者に4つの義務を課しています。
(1)書面の交付義務
(2)下請代金の支払期日を定める義務
(3)遅延利息の支払義務
(4)書類の作成・保存義務
■下請法に沿った発注書(注文書)の書き方
下請法が適用になる取引においては基本的に、親事業者から下請事業者へ発注内容を明確に記載した発注書などの書面を交付しなければいけません。その根拠になっているのが上述した4つの義務の(1)、いわゆる「3条書面」です。
- 下請法 第3条(抜粋)
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
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この規定は、口頭での発注や曖昧な取り決めによって生じうる下請事業者の不利益を回避するためのものです。3条書面の記載事項は、以下のとおり12項目が定められています。
なお、実務上は発注書や業務委託契約書を、3条書面に求められる記載事項を網羅するような形で作成するのが一般的です。
- 3条書面に記載すべき項目
①親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
②製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
③下請事業者の給付の内容
④下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
⑤下請事業者の給付を受領する場所
⑥下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日
⑦下請代金の額(算定方法による記載も可)
⑧下請代金の支払期日
⑨手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
⑩一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
⑪電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
⑫原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
- 発注書(注文書)のサンプル
<規則で定められた事項を一つの書式に網羅した場合>
※ ポイント解説下請法 – 出典:公正取引委員会ホームページ(https://www.jftc.go.jp/)
■発注書(注文書)を交付する際の注意点
- 下請代金額が決まっていない場合
発注書の「下請代金額」には、下請代金の額を明記します。ただし、具体的な下請代金額を記載できない正当な理由がある場合は、算定方法による記載も認められています(例:工賃○円 × 所要時間数 + 原材料費(〇〇円))。その際、具体的な金額を自動的に確定するものであること、また発注書面とは別に算定方法を定めた書面を発行する場合、書面の関連づけを行うことが必要です。また下請代金の具体的な金額を確定した後は、速やかに下請事業者へ確定した金額を通知する必要があります。
- 毎回変わらない「共通記載事項」について
下請取引は継続的におこなわれるケースが大半です。そのため、支払方法や検査期間などの基本的事項が毎回変わらない場合は、これらの事項(共通記載事項)をあらかじめ別の書面によって通知することで、発注書を交付するたびに記載する必要がなくなります。
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