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契約書の保管期間はいつまで?法律上の保管期間と保存方法を紹介

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契約書は、法律で一定期間の保管が求められています。ほとんどの企業は紙で契約書を作成・保管していると思いますが、紙の契約書は管理が非効率になりやすく、量が多くなってくると保管スペースをとられるほか、「参照したいときに見つからない・・・」といった問題も起こりがちです。このようなデメリットから、最近では紙の契約書から電子契約書へのシフトが進んでいます。今回は、契約書の保管期間や電子契約書について解説していきます。



 

■法人における契約書の保管期間

  • 原則:7年間

契約書の保管期間は、法人税法によって「7年間」と定められています。

  • 例外:9年間・10年間

これまで、欠損金(赤字)の繰越期間は7年間でしたが、税制改正により、平成20年4月1日以降に終了した事業年度に生じた欠損金は9年間、繰り越せることになりました。これによって契約書の保管期間も伸長されることになり、平成20年4月1日以降に終了した欠損金の生じた事業年度に関しては、契約書の保管期間も9年間になりました。

加えて、平成27年度・28年度の税制改正で、平成30年4月1日以降に開始する事業年度に生じた欠損金は10年間、繰り越せることになりました。これによって平成30年4月1日以降に開始する欠損金の生じた事業年度に関しては、契約書の保管期間も10年間とされています。

※ 参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁

■契約書の保管方法

現在、多くの企業が「紙」で契約書を保管していると思います。しかし、必ずしも契約書は紙で保管しなければならないわけでなく、「マイクロフィルム」や「電子データ」で保管することも可能です。

  • 契約書を「紙」で保管する

紙の契約書は、契約の種類ごとに、もしくはクライアントごとにファイリングして保管することが多いようです。しかしながら、紙の契約書は管理が非効率になりやすく、以下のような悩みを抱えている企業も少なくありません。

・紙の契約書の量が増えてきて、保管スペースをとられる・・・

・後で参照したいときに、すぐに見つからない・・・

・誰かが持ち出したまま、行方が分からなくなった契約書がある・・・

・本社と拠点の間で契約書を共有するのが面倒・・・

  • 契約書を「マイクロフィルム」で保管する

契約書はマイクロフィルムで保管することもできます。ただし、あまり一般的な方法とは言えないため、説明は割愛します。

  • 契約書を「電磁気(電子データ)」で保管する

紙の契約書は管理・保管が非効率になりがちなことから、最近では契約書を電子データで保管しようという動きが盛んになっています。法的にも、電磁気(電子データ)による保管が認められています。

契約書を電子データで保管するパターンとしては、「電子契約データを保管する場合」と「紙の契約書をスキャナ保存する場合」の2つがあります。それぞれについて詳しくご説明します。

 

電子契約データを保管する場合

「クラウドサイン」や「ドキュサイン」などのインターネットを用いた電子契約(電子取引)システムを利用する企業が増えていますが、企業が電子取引をおこなった場合、その電子取引のデータ(電磁的記録)を保管しておくことが義務付けられています。

・電子帳簿保存法第10条

所得税及び法人税の保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

なお、電子契約による電子データを保管する際は、紙の契約書をスキャナ保存する場合と違って税務署長の承認は不要。ただし、電子帳簿保存法で定められた以下のような要件に則ってデータを保存する必要があります。

  • 電子契約書の要件

・真実性の確保

原則として、認定事業者によるタイムスタンプの付与が必要です。

・関連書類の備付

利用する電子契約システムの概要を記載した書類(マニュアル)を備え付けておく必要があります。

・見読性の確保

電子契約の内容は、ディスプレイ(画面)やプリンタ(紙)を使ってすぐに確認できるようにしておく必要があります。

・検索性の確保

電子契約システムで、電子取引の履歴からデータを絞り込んで検索できるようしておく必要があります。

現在、様々な電子契約システムが登場していますが、すべてのシステムがこれらの要件を満たすとは限りません。電子帳簿保存法で求められる要件をクリアできない電子契約システムでは、インターネット上で契約を締結できても、契約データの電子保存ができず、結局、紙をプリントアウトして保管することになってしまいます。電子契約システムを導入する際は、電子帳簿保存法に対応したシステムを選択するのが賢明です。

 

■紙の契約書をスキャナ保存する場合

もともと紙で作成された契約書をスキャンして、そのスキャンデータを保管する方法も認められています(スキャナ保存)。スキャナ保存の要件を満たせば、紙の契約書を廃棄して、電子化したデータを原本として取り扱うことができます。

ただし、スキャナ保存をおこなう場合は、事前に税務署長の承認を得る必要があります。また、保存方法については電子帳簿保存法によって以下のような要件が求められています。

  • スキャナ保存の要件

・真実性の確保

書類作成・受領後、すみやかにスキャンする必要があり、スキャン機器は解像度など性能水準をクリアしていなければいけません。また、タイムスタンプを付与する必要があります。

・関係書類等の備え付け

電子保存のシステムや事務手続きに関わる書類を備え付けておく必要があります。

・検索機能の確保

取引日付などから保存データを検索可能に状態としておく必要があります。

スキャナ保存の要件に関する詳細は、国税庁のパンフレットをご覧ください。

>> はじめませんか、書類のスキャナ保存!|国税庁

■電子契約書のメリット

電子契約とは、従来、紙で取り交わしていた契約をインターネット上で取り交わし、電子文書を原本として保管する契約のことです。電子契約(電子契約書)のメリットとしては、一般的に以下のような点が挙げられます。

  • 経費を削減できる

紙の契約書には、印紙税法で規定された収入印紙を貼る必要があります。印紙税は契約金額が大きいほど高くなり、取引先が多い企業ほどコストの負担も増えてしまいます。また、郵送で契約書をやり取りする際には郵送費も発生します。

電子契約(電子契約書)であれば印紙を貼る必要はなく、電子契約システム上でやり取りできるので郵送費もかかりません。電子契約への切り替えによって、大きな経費削減効果が見込めるでしょう。

  • 業務を効率化できる

紙の契約書を作成する場合、データ入力にはじまり、製本や押印、印紙の添付、郵送まで、決して少なくない手間・労力を要します。契約を締結した後も、契約書をファイリングしたり、保管場所を整理したりといった作業が必要になります。

電子契約(電子契約書)であれば、このような面倒な作業をする必要はありません。すべての作業がパソコン上・インターネット上で完結するので、大幅な業務効率化につながります。契約書の作成・受領・保管のためにオフィスに出向く必要もないので、テレワークを推進するうえでも大きな後押しになるでしょう。

  • 保管スペースが要らない

紙の契約書の場合、キャビネットや書庫などの保管スペースが必要になります。契約書が増えるほど場所をとることになり、取引先が多い企業の場合は外部に保管倉庫を借りるケースもあるようです。

電子契約(電子契約書)であれば、保管スペースの心配はありません。電子契約データは社内のサーバー上やクラウド上に保管できるため、保管コストを削減できるだけでなく、社内のスペースを有効活用できるようになります。

  • 契約書の管理がしやすい

後になって契約書を参照する際、紙で契約書を管理していると、キャビネットや書庫からファイルを取り出して目視で探すことになります。目当ての契約書を見つけるのに時間がかかることも少なくありません。

電子データで保存されている電子契約(電子契約書)であれば、契約の種類や社名、日付などを組み合わせて検索することができます。どこにいてもスムーズに目的の契約書にアクセスできるので、契約内容を確認したいときや、契約の失効・更新情報をチェックしたいときなどに便利です。

■電子契約書を利用する際の注意点

契約は当事者双方の合意によって成り立つものであり、必ず相手方が存在します。そのため、電子契約を締結する場合は、取引先にも電子契約書を使って契約してもらう必要があります。その際は、取引先にも自社と同じ電子契約システムを導入してもらわなければならないケースもありますし、システムの導入費用や利用料を負担してもらわなければならないケースもあります。当然、取引先の契約フローを変更してもらう必要もあるでしょう。

電子契約書への切り替えは、もちろん取引先にもメリットをもたらしますが、自社の一方的な判断で取引先に電子契約を強要することはできません。必ず事前に相談して、理解を得るようにしましょう。

 

■まとめ~電子契約を利用して契約書管理をスマートに

契約書は一定期間の保管義務がありますが、紙で契約書を保管・管理していると無駄な労力・コストが発生して非効率になりがちです。スマートに契約書を管理したいなら、電子契約を利用して、電子データでの保管に切り替えるのがいいでしょう。

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