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見積書の書き方とは?作成の注意点も解説

フリーランスがクライアントと取引をするうえで、見積書は非常に大きな役割を果たします。クライアントは見積書を見て発注するかどうかを判断しますが、双方にとって良い取引をおこなうには見積もりの金額だけでなく明細や取引条件なども重要です。今回は、見積書の書き方や作成する際の注意点などを解説していきます。ポイントをしっかり押さえて、「良い仕事を獲得できる」見積書を作成しましょう。



■見積書を書く際に必要なもの

帳票発行システムなどを使わずに紙の見積書を作成・郵送する際に必要なものは、以下のとおりです。

見積書のフォーマット

見積書のフォーマットがない場合は、Excelなどで作成します。また、ネット上には見積書のフォーマットを配布しているサイトがたくさんあるので、使いやすそうなフォーマットをダウンロードして使うのもいいでしょう。

※可能であれば、見積書のテンプレートをダウンロードできると望ましいです。

封筒

フォーマットを使って作成した見積書を印刷したら、それを郵送する封筒が必要になります。見積書を郵送する際は、A4サイズで印刷したものを三つ折りにして「長形3号」の封筒に入れるのが一般的です。

「見積書在中」のスタンプ

見積書を郵送する際は、封筒に「見積書在中」のスタンプを押すのが一般的です。手書きでも構いませんが、見積書を作成する機会が多いならスタンプを使ったほうがいいでしょう。

■見積書の書き方【見本付き】

 


見積書の書き方を項目別に解説していきます。

①宛先

宛先には、クライアントの会社名や屋号を省略せずに記載します。必要に応じて、部署名や支店名、役職や担当者名を記載しても構いません。

②見積書No.

見積書には個別の番号を振るのが一般的です。番号を振ることで見積書の管理が楽になるだけでなく、クライアントから問い合わせがあった際に検索しやすくなるなどのメリットもあります。

③日付

見積書を発行した日付を記載します。

④発行者

見積書の発行者の屋号、住所、氏名のほか、電話番号やメールアドレスを記載するのが一般的です。

⑤印鑑

見積書に印鑑を押さなければいけないというルールはありませんが、書面としての信頼性を担保するため、印鑑を押すのがマナーです。

⑥表題

「見積書」「お見積書」「御見積書」などの表題を記します。ひと目で見積書であることが分かれば十分です。

⑦件名

この見積書が「何の件の見積書なのか?」が分かるように、プロジェクト名や、商品名、サービス名などを記載します。

⑧有効期限

見積書には慣例的に有効期限を記載します。書き方は「発行日より◯ヶ月」「◯◯年◯◯月◯◯日まで」などとします。有効期限は2週間〜3ヶ月くらいの長さで設定するのが一般的です。

⑨見積金額

見積もりの合計金額を記載します。明細最下部の合計金額⑯と一致している必要があります。

⑩品名

商品・サービスの内容を記載します。見積もりの内訳が明確になるよう、できるだけ細かく記載します。

⑪数量

商品・サービスの数量を記載します。コンサルティング費用など数量の概念がない場合は便宜、「1」や「一式」と記載して構いません。

⑫単価

商品・サービスの単価(一つあたりの金額)を記載します。

⑬金額

「数量 × 単価」で算出した金額を記載します。

⑭小計

商品・サービスの合計金額(税抜)を記載します。

⑮消費税

小計にかかる消費税額を記載します。なお、軽減税率対象の商品・サービスがある場合は税率ごと(8%・10%)に分けて記載します。

⑯合計金額

商品・サービスの合計金額(税込)を記載します。見積書の上部に記載する見積金額⑨と一致している必要があります。

⑰備考

クライアントとの間で認識違いが生じないように、取引条件などを記載します。

■見積書を作成する際のポイント・注意点

見積書を作成する際のポイントや注意点についてご説明します。

明細や取引条件を詳細に記載する

見積書を作成する大きな目的はクライアントに取引金額を提示することですが、見積もりの明細や取引条件に関する認識違いをなくすことも重要な目的です。そのためには、品目欄と備考欄で以下のような内容を表現する必要があります。

・見積金額にはどんな作業が含まれているのか?(また、どんな作業が含まれていないのか?)

・納期はいつまでか?

・修正は何回まで対応可能か?

・見積金額が変更になるとしたら、それはどんな場合か?

・支払いサイトはどうなるか?

・着手金や中間金などは必要か?

・振込手数料はどちらが負担するか? など

詳細な内容や条件があいまいなまま取引を開始すると、後になって「そんなことは聞いていない」といったトラブルに発展してしまうことがあります。もちろん契約書に記載している内容もあると思いますが、念を押す意味でも見積書に明記するのが良いでしょう。

有効期限を明記する

「見積書の書き方」で解説したとおり、見積書には有効期限を記すのが通例です。見積書に有効期限を記載する目的は2つあります。1つ目は、将来のトラブルを防止するためです。もし見積書に有効期限を設けていないと、何年後になっても見積書に記載した金額で商品・サービスを提供しなければなりません。市況が大きく変化して、たとえば原材料費が高騰した場合でも、最初に発行した見積書の金額に拘束されるのは大きなリスクです。

もう1つの目的は、クライアントにすみやかな発注を促すためです。見積書に有効期限を明記しておくことで、「いつまでに発注する・しないの返答をしなければいけない」という心理的なアラートになるので、期限までに契約を促すことが期待できます。

できるだけ早く提出する

多くのクライアントは費用への関心が高く、「早く見積書を確認したい」と考えています。そのため、見積書を作成する側はできるだけ早めに提出することが重要です。見積書の提出が遅れると、他社で決まってしまったり、発注自体が流れてしまったりしてチャンスを逃すことになりかねません。

「◯日までに見積書をください」と言われている場合でも、期限より早めに提出したほうが印象は良くなります。受注率を上げるためにも、見積書は迅速な提出を心がけましょう。

▼見積書は電子データで素早く発行!

見積書をスピーディーに発行するためには、見積書の「電子化」が必須です。従来のビジネスでは、クライアントに見積書を提出する際、印刷して郵送・FAXするのが一般的でしたが、近年は、PDFなどの電子データで見積書を作成して、メールなどで送信するケースが増えています。

見積書を電子化するには、ExcelやWordで作成したものをPDFに変換する方法もありますが、見積書作成システムや帳票作成システムを導入するのもおすすめです。少ない入力で手早く見積書を作成できるうえ、計算ミスや記入ミスが起こりにくいのがメリットです。見積書を作成する機会が多いなら、ぜひシステム導入を検討してみましょう。

安易に値引きをしない

駆け出しのフリーランスの方などは、契約を獲得するために大幅な値引きをして見積書を提示するケースがあると思います。気持ちは良く分かりますが、安易な値引きは結局、自分の首をしめることになります。

クライアントは、最初に提示された見積金額を基準にして値引き交渉をするケースも多いので、さらに値引きしないと受注できなくなるおそれがあります。その場合、受注できたとしても利益率が下がりますし、最悪の場合、赤字になってしまうケースもあります。継続的に取引をしていく場合、途中でフリーランス側から「値上げ」を求めるのは困難です。特に、初めて取引をするクライアントへの見積書は、安易に値引きするのは避けましょう。

もし値引きが必要な場合は、見積書の書き方に工夫が必要です。品名の欄に「割引価格」「特別お値引き」などと記し、金額の欄に「マイナス」を付けて値引き額を記載しましょう。こうすることで今回限りの値引きであることを認識してもらえ、次回以降、適正価格での取引が期待できます。

数パターンの見積書を作成する

必要に応じて、見積書を「松」「竹」「梅」の3パターンで作成するのもおすすめです。クライアントに対して「発注するかしないか?」の決断を迫るのではなく、「どのパターンが現実的か?」という複数の選択肢を提示することで、受注率が高まると言われます。また、ニーズに合わせて対応できるという柔軟性をアピールすることにもつながります。

3パターンの見積書は、「価格を抑えたパターン」「標準的なパターン」「フルオプションのパターン」で作成するのが一般的ですが、状況に応じて2パターンや4パターンでも構いません。

提出した見積書は保管しておく

見積書は、取引の証拠となる証憑(しょうひょう)書類として、一定期間の保管が義務付けられています(法人の場合は原則7年、個人事業主の場合は原則5年)。保管するのは、自社で発行した見積書の控えや、取引先に発行してもらった見積書です。

なお、見積書のなかには、見積書の有効期限内に契約に至らなかったものもあると思います。そのような見積書は保管する必要はありませんが、後に別の見積書を作成する際に参考になることがあるので、資料として残しておいたほうがいいでしょう。

まとめ~見積書の書き方ひとつで受注率は変わる!

見積書は、フリーランスが仕事を獲得するための重要なツールです。見積書の書き方ひとつで、クライアントの信頼を得られるかどうかが変わってきます。本記事で解説したようなポイント・注意点を押さえた見積書を作成できればクライアントと有意義な交渉ができ、「良い仕事」の獲得につながるはずです。見積書は自分自身の「プレゼンツール」だと考え、契約獲得に生かしていきましょう。



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