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IPOの準備期間はどれくらい必要?上場までの流れを解説!

  • IPO

準備や監査、審査など、さまざまな対応を短期間でこなさなければならない IPO。上場会社として、備えるべき内部統制やガバナンス体制は、一長一短で構築できるものではありません。
ここでは、IPO準備を円滑にすすめるためのIPO準備期間の概要や費用、流れとともに、注意点を説明します。




■IPOの準備期間はどれくらい?

IPOの準備期間は、上場会社としての体制構築や二期分のIPO監査など、課題が山積みです。

ここでは、IPOの準備期間を次に沿って解説します。

  • 3年程度の準備期間が必要
  • IPO準備のためのスケジュール

順を追って説明します。

●3年程度の準備期間が必要

IPOの準備期間は、少なくとも3年程度の準備期間が必要です。

上場前のIPO監査として、上場直前2期の会計監査が不可欠なほか、上場会社としての管理体制を構築する必要から、IPOは、最低3年間の準備期間を要します。

とくに、上場会社としての経営管理体制が確立され、1年間の運用がされていることを上場審査で確認されるため、早期の経営管理体制を構築することが肝要です。

 

●IPO準備のためのスケジュール

IPO準備のためのスケジュールは、次の3つのフェーズに分類できます。

  • 直前々期以前
  • 直前々期
  • 直前期

順を追って解説します。

・直前前々期以前

直前前々期以前は、IPOに不可欠な監査法人や主幹事証券会社を選定しておくことが必要です。とくに、監査法人は、早期に確保しておかないと、IPO監査を受けることができない「IPO監査難民」になりかねません。

また、IPOに向けて、上場会社としての内部統制やガバナンス体制に課題があることが通常です。

この課題を早期に抽出することで、IPOに向けたロードマップを明確化し、IPO準備を円滑にすすめることが可能です。監査法人によるショートレビューを早期に実施することで課題を抽出し、綿密なIPOスケジュールを策定することが肝要です。

 

・直前々期

直前々期は、上場前二期分のIPO監査が開始される期間です。

上場申請時は、このIPO監査の監査証明書を提出する必要があります。財務報告に係る不備などがないように、IPO監査前までに体制を整え、運用することが重要なポイントです。

とくに、投資家保護の観点から、J-SOX法等に対応した内部統制システム構築は不可欠です。内部統制システム構築に必要な諸規程は、この時期までの策定、運用されていることが必須でしょう。

 

・直前期

直前期は、上場会社として、整備した経営管理体制を運用する試運転期間です。IPO監査の二期目にあたる期間でもあり、IPO準備期間の集大成の時期となります。

投資家保護の観点から、利益目標に対する経営成績の状態など、管理会計面も重視されます。上場申請や有価証券報告書等の印刷会社との契約など、上場準備の最終段階でもあります。

上場会社として、適格性を判断される最終関門といえる、IPO準備の最重要期間といえるでしょう。

 「IPOスケジュールとは?準備には何が必要なのか?」の記事では、IPO準備を詳しく説明していますので、ご参考ください。


■IPO準備期間にかかる費用について

IPOは、上場会社として、証券取引所への上場料、監査法人や主幹事証券会社、協力者への支払いなど、多くの費用がかかります。
ここでは、IPO準備期間にかかる費用について、次に沿って説明します。

・上場審査料
・登録免許税
・協力してくれた会社に支払う費用
順を追って見ていきます。

●上場審査料

IPOは、申請会社が上場会社としての適格性を有しているかを審査するため、上場審査を行います。

この上場審査手数料は、市場区分によって価格が決められています。上場時に発生する新規上場料も同様に、市場区分ごとに料金が定められています。

東京証券取引所の例を次に記しますので、参考にしてください。なお、2022年4月4日より、3つの新しい市場区分に再編されることから、新旧の市場区分について、料金表を掲載しています。

 

【2022年4月3日までの旧市場区分における料金表】

市場第一部 市場第二部 マザーズ JASDAQ

スタンダード

上場審査料 400万円 400万円 200万円 200万円
新規上場料 1,500万円 1,200万円 100万円 600万円

 

【2022年4月4日以降の新市場区分における料金表】

プライム スタンダード グロース
上場審査料 400万円 300万円 200万円
新規上場料 1,500万円 800万円 100万円

(参照元)日本取引所グループ より抜粋:「東証への上場

 

●登録免許税

会社設立に伴う登記時、または資本増加に伴う変更登記時に、次のとおり、資本金の状況に応じた登録免許税がかかります。

上場時の状況に応じて、参考にしてください。

【登録免許税】

会社設立時 資本増加時
登録免許税 資本金額×0.7%

※15万円に満たないときは15万円

増加する資本金額×0.7%

※3万円に満たないときは3万円

(参照元)国税庁より抜粋:「登録免許税の税額表

 

●協力してくれた会社に支払う費用

IPOコンサルティングや内部統制の構築に関するJ-SOXコンサルティングなど、協力会社からサポートを受けた場合、コンサルティング費用が発生します。

IPOコンサルティングは、証券取引所の審査に精通する証券会社系、内部統制や決算開示に精通する会計士系に大別されます。相場は、年間500万円〜2,000万円程度が目安です。

 内部統制対応に伴うJ-SOXコンサルティングの平均相場は、J-SOX法成立後の2009年には平均1億6,000万円との調査結果があります。なお、近年の相場では2,000万円程度といわれています。

その他、上場前の監査法人や主幹事証券会社への報酬支払いなども発生します。


■IPO準備期間に関する流れについて

IPOの準備期間は、第一に監査法人を決めることが重要です。

ここでは、IPO準備期間に関する流れを次に沿って説明します。

・監査法人を決める

・主幹事証券会社を決める

・プロジェクトチームを発足する

順を追って解説します。

●監査法人を決める

IPO準備で、重要なカギを握る監査法人の選定。

上場直前二期分のIPO監査の監査証明が必要ですが、これには、上場会社監査事務所として登録されている会計監査人(監査法人)による監査が不可欠です。加えて、原則、三期前の期末棚卸資産の実地棚卸を上場会社監査事務所(監査法人)による立会いが求められているため、それまでに監査法人との契約が必要でしょう。

会計処理の根拠資料が整理・保管していることが求められるほか、監査法人によるショートレビューによって、IPOに向けた課題を明確化するため、早期に監査法人を決めることが肝要です。

 

●主幹事証券会社を決める

IPOの意思決定後は、早い段階で主幹事証券会社を決めることも重要なポイントです。

上場に向けて、資本政策の立案や社内体制、上場手続きなどのアドバイスのほか、株式の募集・売り出しの引き受け審査など、主幹事証券会社は、IPOで大きな役割を担っています。

早期に主幹事証券会社を決めることで、助言や提案を受けた上で、円滑にIPO準備を進めることが可能です。 

 

●プロジェクトチームを発足する

IPOは、上場手続きや内部統制体制の構築、IR体制の整備、監査対応や会計制度の変更など、組織横断的な対応が求められます。

IPOに関連する主要部門によるプロジェクトチームを編成し、協力体制を構築して、上場するための準備を整えることが肝要です。

プロジェクトチームは、策定したIPO準備スケジュールの下、進捗を定期的に管理し、IPOプロジェクトを統制することがIPO成功のポイントです。


■IPO準備期間に関する注意点

IPO準備には、さまざまな注意点があります。

ここでは、IPO準備期間に関する主な注意点を解説します。

・上場するまでコストがかかる

・経営に関する問題は組織改変が求められる

・IPOには、内部統制や監査の書類一元化が不可欠

順を追って説明します。

●上場するまでコストがかかる

IPOは、上場後だけではなく、上場前のIPO準備期間においても相応のコストがかかります。

監査法人に対する報酬は、必ず発生します。場合によっては、税理士や弁護士の支援が必要なこともあります。内部統制システムに課題がある企業は、J-SOXコンサルティングを受けるなど、内部管理体制の報酬が発生することもあるでしょう。

協力会社への依頼数が多いほど、費用は高額になります。上場後に発生する上場関係費用や各種機関に対する支払いを踏まえ、準備段階では、内部で管理できることは自社で対応することも検討しましょう。

 

●経営に関する問題は組織改変が求められる

上場会社は、投資家保護の目的から、内部統制体制や経営管理体制の構築が不可欠です。

監査法人によるIPO審査によって、経営体制に問題があると判断された場合は、組織改変しないと上場できません。監査法人によるショートレビューをできるだけ早期に受け、早い段階で組織体制の課題を抽出し、組織改変に取り組みましょう。

場合によっては、業績の悪化に繋がる可能性があるため、ロードマップを明確にし、綿密に計画を立て取り組むことがIPO成功のカギとなります。

  • IPOには、内部統制や監査の書類一元化が不可欠

内部統制や監査に必要な書類が紙帳票の場合、監査時に、関連書類をあらゆる保存場所から集める必要があります。IPO監査は、迅速に対応することが求められますが、円滑に監査対応するためには、提出書類を迅速に提出する必要があります。
請求管理ツール「pasture」なら、内部統制や監査に必要な書類を一元化し、迅速な監査対応を行えるほか、内部統制の構築をスピーディーに進めることが可能です。下請法や電子帳簿保存法にも対応しており、IPO準備に最適なツールです。

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■IPO準備期間は少なくとも3年。ショートレビューの上で、計画的にIPO準備に取り組みましょう!

本記事では、IPO準備期間の概要や費用、流れのほか、注意点を説明しました。IPO準備期間は、さまざまな機関に協力を仰ぐとともに、上場会社としての適格性を備えた経営管理体制を構築することが不可欠です。
上場直前の二期分のIPO監査で、経営体制の不備があると、組織改変がなされないと上場できません。IPO監査実施前までに、上場会社としての適格性を備えた経営管理体制を整備するよう、ショートレビューの上で計画的にIPO準備に取り組みましょう。

 

 

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