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IPOスケジュールとは?準備には何が必要なのか?

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IPOを成功させるために、欠かすことのできないIPOスケジュールの策定。
IPOは、準備や監査、審査などの期間を含めて、株式公開まで少なくとも3年は要します。準備段階から対応すべきことは多々あり、各フェーズを滞りなく確実にこなす必要から、IPOスケジュール策定は不可欠です。

本記事では、上場準備に必要なIPOスケジュールの概要や準備、注意しておくべきポイントのほか、IPO準備におすすめの請求管理ツールを紹介します。



■IPOスケジュールについて

IPOの成功に不可欠なIPOスケジュールの策定。IPOは、少なくとも3年の長期プロジェクトであり、IPO準備における各フェーズのスケジュールをしっかりと作り込むことが重要です。IPOスケジュールは、準備から上場までのフェーズを4つに分けることができます。

  • IPOスケジュール①:直前前々期以前
  • IPOスケジュール②:直前々期
  • IPOスケジュール③:直前期
  • IPOスケジュール④:申請・上場期

順を追って解説します。

●IPOスケジュール①:直前前々期以前

直前前々期以前は、IPOを実現するために重要な準備期間です。ここでは、直前前々期以前の概要スケジュールと留意点を説明します。

 

・直前前々期以前の概要スケジュール

この期間の大まかな流れは次のとおりです。

【直前前々期以前の主なスケジュール】

  • IPOを実施すべきかの精査
  • 資本政策の策定
  • 監査法人の選定
  • ショートレビュー実施・精査
  • プロジェクトチームの結成
  • IPOスケジュール立案
  • 主幹事証券会社の選定
  • ショートレビュー指摘事項の改善
  • 管理会計の導入・実施
  • 内部統制に対応した諸規程の整備

IPOは、資金調達力や信用性、従業員のモチベーション向上など多くのメリットがある一方、内部統制体制の構築義務、IR対応のほか、上場維持の対応やコストが発生するなどのデメリットもあります。

IPOを実施する目的とメリット・デメリットを照らし合わせ、実施すべきかをしっかり精査することが肝要です。実施決定後は、監査法人のショートレビューを受けることで課題を明確化し、綿密な計画の下でIPOスケジュールを策定します。

IPOスケジュールの策定時は、上場準備が遅れないように、ノウハウを持っている人材にアドバイスを受けることが不可欠です。IPOのコンサルティングを行っている事業者、あるいは証券取引所の上場推進部などに、上場の相談をすることをおすすめします。

東京証券取引所の場合は、「IPOセンター」を窓口として、上場推進部が円滑な上場準備をサポートしていますので、参考にしてください。

(参照元)日本取引所グループより抜粋:「上場をご検討中の皆様

・直前前々期以前における留意点

直前前々期以前で最も留意すべきポイントは、「ショートレビュー指摘事項の改善」です。
上場前の直前々期と直前期の2期分において、監査法人による外部監査が実施されます。そのため、外部監査前にショートレビュー指摘事項の改善をしておくことが、上場を成功させるための重要なポイントとなります。早期にショートレビューを実施し、改善を図る期間に余裕を持つべきことに留意が必要です。
監査法人が監査人を受任してもらえないといった「IPO監査難民」にならないよう、監査法人の選定を早期に行うこともIPOを失敗しないための重要なポイントです。

 

●IPOスケジュール②:直前々期

直前々期は、上場審査に必要な外部監査が行われるとともに、上場会社としての管理体制を構築する期間です。この期間の大まかな流れは次のとおりです。

【直前々期の主なスケジュール】

  • 監査法人によるIPO監査開始
  • 内部統制に対応した諸規程の運用
  • 内部監査の開始
  • 会計方針の変更
  • ガバナンスに応じた役員選解任・組織体制見直し
  • 株主名簿代理人との契約

この時期は、上場審査に必要なIPO監査が行われる期間です。上場申請時には、過去二期分監査法人による監査証明書が必要なため、直前々期から監査法人による外部監査が開始されます。
外部監査に対応すべく、J-SOXなどの内部統制に対応した諸規程の整備・運用とともに、内部監査の実施が不可欠です。ガバナンスの観点から、同族性を避けるとともに社外役員を取り入れることや、相反する役割の兼任などを解消するため、必要に応じた役員の選解任、組織体制の見直しも必要でしょう。

 

・直前々期における留意点

上場企業は、株式市場における信頼性を担保するため、財務報告に関する業務が適正に行われ、適切にリスクをコントロールする内部統制構築義務(J-SOX法)が課されています。
このJ-SOX法に応じたIPO監査に対応するため、書類整理など、準備を整えておく必要があります。J-SOX法では、「業務記述書」「リスクコントロールマトリックス」「フローチャート」といった、いわゆる内部統制3文書を作成することが望まれています。内部統制上、リスクが高い業務については、作成することをおすすめします。

 

●IPOスケジュール③:直前期

直前期は、上場企業としての試運転期間です。ここでは、直前期の概要スケジュールと留意点を説明します。

直期の概要スケジュール

この期間の大まかな流れは次のとおりです。

【直期の主なスケジュール】

  • IPO監査(二期目)
  • IPO申請資料作成
  • 上場申請や開示書類における印刷会社との契約
  • 管理会計の見直し・強化
  • ガバナンス体制の構築と運用
  • 主幹事証券会社の中間審査

この時期は、IPO監査が二期目となり、上場会社としての試運転期間の位置づけとなります。ショートレビューにおける課題や一期目のIPO監査で抽出した改善点を反映した、上場前の集大成の監査期間といえるでしょう。

利益目標に応じた経営成績を上げられているかなど、管理会計面も重視されますので、管理会計強化も必要でしょう。

・直前期における留意点

直前期は、上場企業として適格なのか審査される重要な時期です。

投資家保護の観点から、内部統制は極めて重視されるポイントとなります。「ガバナンス体制が有効に構築されているか」「内部監査制度やリスク対応などガバナンスの運用が適切に行われているか」など、専門家のアドバイスを受けるなどにより、再点検することをおすすめします。

 

●IPOスケジュール④:申請・上場期

上場・申請期は、主幹事証券会社と証券取引所の上場審査が行われる、IPOへの最終関門の時期です。ここでは、申請・上場期の概要スケジュールと留意点を説明します。

・申請・上場期の概要スケジュール

この期間の大まかな流れは次のとおりです。

【申請・上場期の主なスケジュール】

  • 上場申請
  • 主幹事証券会社による審査
  • 証券取引所審査
  • ロードショーとIRサイトの公開
  • 上場・セレモニー

上場申請までの期間は、上場するために必要な準備を行います。上場申請後、上場承認までの期間は主幹事証券会社証券取引所の上場審査対応、上場までの間は、ファイナンスに関する作業を行う流れになります。

 

・申請・上場期における留意点

主幹事証券会社による審査は、申請企業株式の公募・売り出しについて、引き受けるに値するかを見極める引受審査です。証券取引所による上場審査とは目的が異なりますが、証券取引所審査のトライアルの一面もあります。

主幹事証券会社による審査までに、上場会社としての体制をしっかりと構築しておくことが肝心です。

 

■IPO準備で必要なこと

上場会社は、投資家保護の観点からガバナンス体制の構築が必須ですが、この構築は一長一短でできるものではありません。

そのため、IPOを成功させるには、上場会社として自社に何が足りないかを早期に知り、課題に対応していくことが成功へのカギとなります。

ここでは、IPO準備で重要なポイントを3つ説明します。

  • 監査法人によるショート・レビューを受ける
  • 資本政策を押さえておく
  • 上場トレンドの変化を把握しておく

順を追って見ていきます。

●監査法人によるショート・レビューを受ける

上場の意思を固めたら、真っ先に行うべきショートレビュー。

ショートレビューにより、上場に向けた課題やロードマップを明らかにすることが可能です。

IPOの準備期間は、少なくとも3年といわれていますが、上場会社として構築すべきガバナンス体制や管理会計、社内規定の整備など、IPOに備えるべきことは盛りだくさんです。

自社の組織体制の整備状況によっては、準備期間が大幅に増えることもありますので、「3年」の目安に拘らず、早期にショートレビューを実施し、IPOスケジュールを策定することが肝要です。

IPOは、規程の整備や内部統制の構築、申請実務など、対応事項は多岐に渡ります。プロジェクトチームを発足し、IPOに向けてPDCAを確実に回していくことが成功への近道でしょう。

 

●資本政策を押さえておく

資本政策には、事業計画を達成するための「資金調達」「株主構成」「キャピタルゲイン」の三要素を指します。

適切な時期に、この資本政策を行わないと、経営が不安定になる可能性があります。

・資金調達

上場前のスタートアップ企業は、金融機関からの借入が難しいケースもあります。ベンチャーキャピタルや事業会社からの借入のほか、投資家や関係者に対する株式売却など、自社に適した資金調達方法を早期に検討することが重要です。

 

・株主構成

株主は、持株比率に応じて権利行使できる内容に違いがあります。たとえば、「3分の1を超える株主」は、株主総会の重要な決議(特別決議)を単独で否決できる、「.過半数を超える株主」は、取締役の選解任などの普通決議を単独で可決可能です。このように、株主構成は、経営に大きく影響します。公開によって、自社の経営に支障が出ないよう、自社の経営方針に応じた株主構成をデザインすることも、IPOの重要な課題です。

 

・キャピタルゲイン

IPO時に、経営者や従業員に対し、株式売却によるキャピタルゲインをどの程度見込むかも、資本政策上、重要なポイントです。株式公開による資金調達を重視するのであれば、キャピタルゲインを抑える必要があります。資金調達と経営者や従業員に対するストックオプションなどのバランスを勘案して、キャピタルゲインを検討する必要があります。

 

●上場トレンドの変化を把握しておく

上場の審査には、「形式要件」と「実質審査基準」の二つがありますが、上場トレンドの変化が影響するのは、実質審査基準です。実質審査基準は、適格性を審査する基準であり、書類審査やヒアリングなどによって判断されます。収益の安定性や内部統制体制などが含まれますが、たとえば、企業不祥事が多発している状況下では「内部統制体制」、不況下では「収益の安定性」が重視されるといったこともあるでしょう。上場トレンドの変化で、従来の審査ポイントが変化する可能性がありますので、常に情報を集めて、必要な準備を整えることが肝要です。


■IPOの準備期間に注意しておきたいポイント

IPOの準備期間は、ショートレビューを受けての課題対策や資本政策、監査法人の決定など、対応すべき事項はさまざまです。ここでは、IPO準備期間に注意しておきたいポイントを解説します。


●コストがかかる

IPO準備には、監査法人や主幹事証券会社、株式事務代行機関や証券印刷会社などに対する報酬のほか、内部管理体制の構築など多大な費用がかかります。IPOには相応のコストがかかることを踏まえて、管理体制の効率化を図る必要があります。ツールを導入して、書類整理などを簡略化させることで、管理体制を効率化することが有効です。

 

●上場に向けて会社の魅力をPRする

いくら上場準備を万全にして体制を整えても、自社の魅力をアピールするIPO広報を適切に行なっていなければ、投資家は自社株を購入してくれません。上場承認後に、目論見書とともに投資家と接点を持つIRページに、自社の将来性や魅力を盛り込み、アピールすることが肝要です。上場会社として責務を果たせる企業であることを訴求し、投資家から適正な評価を受けることも、適正な株価を形成するための重要なポイントです。

 

●上場させるだけを目標にしない

IPOを目指す企業は、得てして上場させることが目標になりがちです。上場は、あくまでも企業が大きくなるためのツールであることを念頭におくことが肝要です。上場させることが目標であると、上場後のビジョンが描けていない場合も往々にあります。IPO準備の段階で、上場後のスケジュールも組んでおくことが肝要です。


■IPO準備におすすめ請求管理ツール「pasture」

フリーランスとの取引や業務委託がある企業は、契約や請求管理が煩雑なため、内部統制やガバナンスなどの上場審査基準を満たすことができないケースもあります。

ここでは、契約や請求管理が上場審査基準を満たすことのできる、IPO準備におすすめの請求管理ツール「pasture」を紹介します。

  • ガバナンスの整った発注請求体制が整えられる
  • 一連の作業から情報が入力される
  • チャットサポートは平均7分で返信

順を追って見ていきます。

●ガバナンスの整った発注請求体制が整えられる

「pasture」は、下請法や電子帳簿保存法に対応した書類の発行や保存ができるIPO準備に最適な請求管理ツールです。

IPO監査において、取引の受発注の証憑を監査法人と何度もやり取りすることがありますが、監査に必要な書類をツール化することで、IPOの監査対応を劇的に効率化することが可能です。

また、契約・請求管理をツール化することにより、ガバナンスの整った発注体制が整えられ、上場審査基準を満たすための大きな決め手のひとつになるでしょう。

 

●一連の作業のログが残り、情報も一元化される

IPOを目指すうえで監査法人との連携は必須ですが、pastureがあれば、監査法人とのやりとりに必要な証憑を正しく集めることができます。 アクティビティログで誰がいつ、どのような行動を行ったのかが可視化され、ログを残すことが可能です。 また、発注したデータを元に請求書が作成されるため、手入力の必要もありません。

ミスや差し戻しなどの内部統制リスクを減らせることも、注目すべきポイントです。

 

●チャットサポートは平均7分で返信

「pasture」は、カスタマーサクセスチームによって、チャットサポートを提供しています。

平均7分で返信しているように、回答を素早く行なっているため、ユーザーは迅速に業務進行が可能です。

また、チャットサポートでは、返信3回で疑問解決することを目指しており、「後続質問を想定して、疑問を先回りして解決する」ことに取り組んでいます。

ユーザーは、効率的にサポートを受けることができ、IPO準備で多忙を極めるユーザーに最適なサポート体制といえるでしょう。


■IPO準備の肝は、早期のショートレビュー|請求管理ツールの導入も成功のカギ

本記事では、上場準備に必要なIPOスケジュールの概要や準備、注意しておくべきポイントのほか、IPO準備におすすめの請求管理ツールを紹介しました。

上場会社は、ガバナンスや内部統制体制の構築義務があることから上場審査基準も厳しく、IPOは極めて高い壁があるといえます。

この壁を乗り越えるには、早期のショートレビューによって己を知り、上場会社としての管理体制を準備段階で整えておくことが重要です。

IPOを成功させるために、ショートレビューを早期に実施するとともに、IPO準備に有効な請求管理ツールを導入しましょう。


フリーランスマネジメントツールはpasture(パスチャー)