上場する過程で監査はどのように行われる?全体的な流れを解説!
IPOを目指す上で、必ず対応がもとめられる各種監査。上場する過程の監査は、自社や、監査人、監査法人とガバナンスを担保する各々の監査があります。本記事では、上場で行う監査の種類、内部監査対応の範囲のほか、上場監査に最適な請求管理ツールを紹介します。
CONTENTS
■上場する上で行う監査は3つ
上場する上で行う監査は、上場会社としての適格性を有しているかを判断するため、3つの監査が行われます。
ここでは、上場する上で行う監査3つを解説します。
・上場する際に行う監査①:内部監査
・上場する際に行う監査②:外部監査
・上場する際に行う監査③:監査役監査
順を追って説明します。
●上場する際に行う監査①:内部監査
内部監査は、組織における経営目標の効果的な達成を目的に行われます。
後に触れる外部監査や監査役監査は、第三者の調査機関として、調査の実施だけで助言を公式に行うことはありません。
しかし、内部監査は、組織の自浄作用の役割もあり、調査機能だけではなく、コンサルティング機能を有していることに、他の監査とは大きな違いがあります。
内部監査は、社内規定に基づいた経営が行われているのかのチェックがされます。とくに財務報告に重大な影響があり得る業務に指摘があった場合、最優先で改善する必要があるでしょう。
●上場する際に行う監査②:外部監査
外部監査は、監査法人によって行われる監査で、上場審査基準で求められる「会計監査」が実施されます。いわゆるIPO監査であり、上場前の過去2期分の監査法人による監査です。
事前に、監査の対象になる財務諸表等の作成の指導や助言を受けるほか、外部監査を受ける前に、上場会社としての経営体制を構築することも不可欠です。
早期に監査法人のショートレビューを受けて、ロードマップを明確することで、できるだけ早めに経営管理体制を整えることも重要なポイントとなります。
●上場する際に行う監査③:監査役監査
上場企業は、「監査役会」「委員会」のいずれかの機関を設置する必要があります。これらの機関を設置するには、ガバナンスの観点から、社外監査役、または社外取締役の選任が必須です。
社外監査役、または社外取締役を置くことにより、取締役が違法行為や不正行為を行わないようにガバナンス体制を構築し、職務執行を監査します。
■上場するために内部監査はどこまで行うべき?
上場企業は、投資家保護の観点から、内部統制システムの構築義務が課せられています。
ここでは、上場するために内部監査はどこまで行うべきかを次に沿って解説します。
・まずは内部監査に対する意識を持つ
・内部者は独立性を持って監査を行う
・PDCAのサイクルで実施する
順を追って説明します。
●まずは内部監査に対する意識を持つ
内部監査をどこまで行うべきかを認識するためには、なぜ内部統制システムを構築する必要があるかを知ることが近道です。
2000年初頭に、巨額の粉飾決算事件が相次いだことを背景に、日本の株式市場における信頼回復を目的として、内部統制報告制度(J-SOX法)が整備されました。この内部統制報告制度は、財務報告の信頼性を確保するために、「企業の内部統制が有効に機能しているか」を経営者が評価し、報告する制度です。
内部監査は、この「内部統制が有効に機能しているか」を見るものです。財務報告の適正性に問題がないかなど、日々の業務が規則などに沿い、適切に運用されているのかをポイントに監査します。
内部監査は、内部統制システムの有効性を見るものであることに意識を持つことが重要です。
●内部者は独立性を持って監査を行う
内部監査を担う内部者は、ガバナンスの観点から、独立性を持って監査を行うことが肝要です。
内部者の独立性が阻害されてしまうと、企業自らの自己監査になり、内部統制システムの実行性が担保されなくなるリスクがあります。
内部監査体制の独立性を確保するためには、社長直轄の組織として、内部監査室を設けることが不可欠です。独立性を確保した内部監査室を設けることで、自己監査となるリスクを下げ、ガバナンス体制を構築することがポイントとなります。
●PDCAのサイクルで実施する
内部監査は、内部監査のテーマを選定することが起点になります。
内部監査のテーマ選定は、内部統制システムの有効性に大きな影響を与えます。財務報告の適正性を確保するために、重要なテーマを取り上げることが肝要です。
設定した内部監査のテーマを元に、次のPDCAサイクルを実施します。
1 監査計画立案
2 内部監査の実施
3 監査結果の評価
4 問題点の改善
それぞれの概要を説明します。
1 監査計画立案
監査計画立案は、選定したテーマを元に、年間の内部監査計画を作成します。具体的には、監査の基準となる「監査項目」「評価基準」を設定し、対象部署や監査方法などを決定します。
2 内部監査の実施
内部監査の実施は、監査計画に従い、対象部署に対して実施します。社内規定や定められた業務フローを逸脱するなど、内部統制の不備が発見された時は、調書に記録します。
内部監査の対象部門に対し、内部監査実施前に、監査に必要な書類を事前に求めることも必要でしょう。
3 監査結果の評価
あらかじめ定めた評価基準に照らし合わせて、監査結果を評価します。内部統制システムが有効に機能しているかの視点が評価のポイントです。
公益社団法人日本監査役協会では、内部監査のチェックシートサンプルを公開していますので、参考にしてください。
(※参考)公益社団法人日本監査役協会:「電子図書館 監査業務支援ツール」
4 問題点の改善
問題点の改善は、監査評価の結果、内部統制の不備が発見された部署に求めます。
監査結果をフィードバックし、財務報告の適正性を担保するために必要な改善策を要請し、対象部署から改善計画を提出をしてもらうことが必要です。
このように、問題点を改善し、内部監査のPDCAサイクルを回していくことが重要です。
公益社団法人日本監査役協会では、内部監査業務のPDCAの各段階で活用できる「監査業務支援ツール」を公開していますので、参考にしてください。
(※参考)公益社団法人日本監査役協会:「電子図書館 監査業務支援ツール」
■上場の監査は請求管理ツール「pasture」を使って情報整理
上場の監査には、社内規程や内部統制文書、会計監査等に必要な証憑など、あらゆる管理文書が必要です。
しかし、内部統制上の不備がない環境を構築するには多大な労力が要されます。
ここでは、内部統制に対応した上場企業におすすめの請求管理ツール「pasture」を紹介します。
・ガバナンスを整備する
・一連の作業を「pasture」で完了させられる
順を追って見ていきます。
●ガバナンスを整備する
「pasture」は、契約や請求管理において、上場企業に不可欠なガバナンスを整備するに最適なツールです。
承認フロー設定により、内部統制整備も可能で、発注から請求までワンストップで行えます。現場への負担を最小限に抑えつつ、上場会社が備えるべきガバナンス体制が整った発注管理体制が構築可能です。
上場監査を控える多忙な企業に、おすすめの請求管理ツールです。
●一連の作業を「pasture」で完了させられる
「pasture」は、ChatworkやSlack、LINEなど多様なコラボレーションツールと連携可能です。仕事の依頼や請求書の自動リマインドなど、発注先に合わせたツールを用い、一連のタスクをpasture上で完結できます。
発注先への依頼内容のデータをもとに、請求書の作成が可能です。手作業によるミスを防ぐほか、業務を円滑に行えるツールです。
■上場監査は、内部監査のテーマ選定が肝。PDCAサイクルを回して上場監査に備えましょう
本記事では、上場で行う監査の種類、内部監査対応の範囲のほか、上場監査に最適なおすすめ請求管理ツールを紹介しました。
上場監査で内部統制の不備とならないよう、内部監査の段階で対象部門に改善させることが、上場監査における重要なポイントです。そのためには、自社が上場会社として、備えるべきガバナンス体制構築に向けた課題を抽出し、内部監査のテーマを設定することが肝となります。