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外注と業務委託の違いは?外注におけるメリット・デメリットを解説

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「外注」と「業務委託」は近しいニュアンスを持つ言葉ですが、厳密には意味合いが違います。意味の違いを理解しないで使っていると、相手方の誤解を招き思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。今回は、外注と業務委託の違いをはじめ、外注のメリット・デメリット、外注する際の注意点などについて解説していきます。




■外注とは?

外注とは、文字どおり「外部へ発注すること」を指す広い概念です。通常、自社の業務の一部、またはすべてを外部の企業やフリーランスなどの個人に委託することを意味します。「アウトソーシング」という言葉も、外注とほぼ同義と捉えていいでしょう。なお、外注とは逆に、外部へ発注せず自社内ですべて製造・制作することを「内製(インソーシング)」と言います。

外注をするための契約形態はいくつかありますが、その一つが、後述する「業務委託」です。


■業務委託とは?

業務委託とは、文字どおり「業務を委託すること」。外注と近いニュアンスを持つ言葉ですが、厳密には意味が違い、外注する際の契約形態の一つが業務委託だと言えます。

企業が業務の一部、またはすべてを外注する際に、「業務委託契約」が交わされるケースが多々あります。ただし、「業務委託」という言葉は法律上存在せず、業務委託契約は「請負契約」「委任契約・準委任契約」の総称だとされています。

  • 請負契約とは?

請負契約とは、成果物を納品することで報酬を受けることを約する契約です。契約時に、どんな成果物をいつまでに納品するのかを定めます。受注者は決められた成果物(モノ)を完成させ、納品することで、発注者から報酬を受け取ります。受注者は正しい成果物を納品する責任を負い、成果物に不備がある場合などは納品後でも修正に応じる義務があります。

  • 委任契約・準委任契約とは

委任契約とは、特定の業務を遂行することで報酬を受けることを約する契約です。委任契約のゴールは、特定の業務を遂行するという行為(コト)であり、受注者は契約時に定められた業務を遂行することで、発注者から報酬を受け取ります。受注者は契約期間中、定められた業務を誠実に処理する義務を負いますが、成果物を納品したり一定の成果を出したりする義務は負いません。

なお、委任の対象となる業務が法律行為に関わる場合は委任契約となり、法律行為に関わらない場合は準委任契約となります。たとえば、税理士や弁護士などの業務は委任契約になりますが、コンサルティングや講師などの業務は準委任契約になります。


■外注と業務委託の違い

単純に、業務を外部に発注するという意味では「外注」という言葉が使われ、外注時の契約形態の一つとして「業務委託」という言葉が使われるのが一般的です。外注と業務委託の違いを、具体的な文脈のなかで理解しましょう。

・A社の経理部では、経理業務のすべてを内製でおこなっていました。

・ところが、経理部から退職者が出たため、業務が遅延するようになりました。

・そのため、経理業務のうち負担が大きかった給与計算業務を「外注」することにしました。

・「外注先」は、給与計算の専門業者であるB社に決定しました。

・A社はB社と取引をするにあたって、「業務委託契約」を締結しました。

外注や業務委託という言葉は、通常、このような文脈で用いられます。


■外注のメリット

近年、業界・業種を問わずあらゆる企業で業務の外注化が進んでいます。企業が自社の業務を外注するメリットは多々ありますが、大きな利点となるのが以下の3点です。

  • クオリティが向上する

毎月発生する定型的な業務だけでなく、自社では対応するのが難しい専門的な業務も外注するメリットがあります。

たとえば、Webデザインを手がけているC社が、顧客からホームページのデザイン刷新を依頼されたとします。その際、オリジナルの動画を使いたいという要望がありました。しかし、C社には動画撮影・編集に関する知見・ノウハウがありません。このような場合に、動画制作だけを外部の専門業者や動画クリエイターに外注するイメージです。

専門の業者・クリエイターに依頼することでクオリティの高い動画を制作でき、結果的に、ホームページ全体としての品質も向上します。

  • 社内でしかできない業務に専念できる

日々の業務のなかには、データ入力や確認作業など、毎月発生するルーティン業務があるはずです。このように、日常的に発生する定型的な業務は外注化するメリットが大きいと言えます。

たとえば、請求書の発行業務にストレスを抱えている企業は少なくありません。請求書の件数が多くなるほど、入力や印刷、封入や郵送などで時間・労力を要しますが、外注化することで、この時間や労力を大幅に削減できます。負担になっている業務を外部の専門家に任せることで、社内でしかできない業務に力を注ぐことができるようになるはずです。

  • コストを削減できる

外注のメリットとして見逃すことができないのが、コスト削減効果です。

上述したC社の例で考えてみましょう。動画制作に対応するためには、専門の動画クリエイターを採用するという方法も考えられます。ですが、C社は動画制作の依頼を頻繁に受けているわけではありません。イレギュラーな依頼に対応するために人を雇っていたら、人件費がムダになってしまう可能性があります。その点、外注であれば必要なときだけ利用できるので、固定費(人件費)を変動費化でき、コスト面で大きなメリットがもたらされます。

たとえば、社内リソースだけで業務が回らない繁忙期は外注量を増やし、業務が落ち着いている時期は外注量を減らすなど、うまくコントロールできれば大きなコスト削減効果が期待できるでしょう。


■外注のデメリット

外注のメリットは上述のとおりですが、デメリットがないわけではありません。以下のようなデメリットを把握したうえで、「うちの場合は、メリットのほうが大きい」と判断できるのであれば外注を積極的に活用すべきです。

  • 自社の人材が育たない

どんな業務にも言えることですが、自ら考え、自らの手で業務を完結させることで経験値が上がり、知見・ノウハウが蓄積されます。逆に考えると、外注に依存していると自社の人材が育ちにくく、知識や技術、ノウハウが社内に蓄積されないのがデメリットだと言えるでしょう。

このことは、外注先の倒産などによって、外注できなくなった場合に大きなリスクとなって返ってきます。特定の業務を外注に頼っていると、自社で対応せざるを得なくなったときに品質・精度を保てなくなってしまいます。

  • 情報漏えいのリスクがある

業務を外注するということは、情報を外部に持ち出すということ。当然、内製で対応する場合に比べると、情報漏えいのリスクは高まります。

外注先のセキュリテイ体制に不備・欠陥があると、機密情報や顧客情報などの漏えい事故が起きる可能性があります。セキュリテイ管理を外注先に依存せざるを得ない点は、外注のデメリットの一つだと言えます。

  • いつでも外注できるわけではない

外注先はあくまでも外部の独立した事業者であり、自社の従業員ではありません。いつも発注している外注先に仕事を断られてしまうことも考えられますし、外注先が突然、倒産してしまう可能性もあるでしょう。また、個人に外注する場合などは、急に連絡が取れなくなってしまうケースもあるようです。信頼できる外注先を見極めたうえで、密にコミュニケーションを図りながら取引をすることが大切です。


■外注費の扱いに関する注意点

外注費の扱いについて注意したいのが、「外注費を給与と認定されてしまうリスク」です。自社の業務を外注した際、税務上「外注費」で処理するのが一般的です。しかし、税務調査によって外注費が給与と認定されてしまうケースがあります。外注費が給与と認定されてしまうと、追徴課税のほか、不納付加算税や延滞税が課税されることがあるため注意が必要です。

  • 外注費と給与の違い

外注費と給与の大きな違いは、以下の3点です。

 

外注費 給与
消費税 課税(控除できる) 非課税(控除できない)
社会保険料 保険料を負担しない 保険料を負担する
源泉徴収 不要(業種によっては必要) 必要

 

外注費として処理できれば、「消費税の納税額が減る」「社会保険料の負担が減る」「源泉徴収する負担が減る」といったメリットがあります。企業としては、外注費は外注費として処理したいところですが、上述したように税務調査で給与と認定されてしまう場合があります。

  • 外注費か給与かを区分する基準

外注費になるのか給与になるのかは、雇用契約の有無ではなく業務の実態によって判断されます。以下のポイントは、外注費なのか給与なのかを判断する基準とされています。

▼仕事の遂行について指揮監督を受けているか

作業時間や仕事の進め方など、仕事の遂行について外注先が発注側の指揮監督を受けている場合は、「給与」と認定される可能性が高くなります。一方、作業時間や仕事の進め方を外注先が自由に決めていれば、「外注費」と判断されやすくなります。

▼対価が労働時間によって決められているか

労働時間単位で対価が決められている場合は、「給与」と認定される可能性が高くなります。一方、成果物の価値に基づいて対価が決められていれば、「外注費」と判断されやすくなります。

▼他人が代わりに遂行できる業務か

外注した業務が、当人にしかできない業務である場合は、「給与」と認定される可能性が高くなります。一方、他人が代わりに遂行できる業務の場合は、「外注費」と判断されやすくなります。

▼作業のための道具・材料を誰が調達しているか

作業のための道具・材料を、発注側が負担して提供している場合は、「給与」と認定される可能性が高くなります。一方、外注先が自己負担で調達している場合は、「外注費」と判断されやすくなります。


■外注や業務委託でのトラブルを防ぐために

昨今、多くの企業で外注の活用が進んでおり、外注先も専門業者だけでなくフリーランスや個人事業主など多様化しています。それにともない、企業と外注先との間でトラブルが増加しているのも事実です。

外注時のトラブルを避けるためには、業務委託契約など然るべき契約を締結したうえで取引を開始することが重要です。業務内容だけでなく、成果物の品質や契約不適合責任(瑕疵担保責任)、報酬やその支払い、機密保持や解約など、双方で認識違いが起きないように適切な言葉を用いて契約を交わすようにしましょう。


■まとめ~外部パートナーとの協業が企業を成長させる

外注取引には一定のリスクがありますが、労働人口の減少が深刻な我が国において企業が発展を遂げるには、いかに外部リソースを活用できるかにかかっています。外部パートナーと積極的に協業し、ビジネス成長の原動力としていきましょう。

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※ pastureでは通常、企業と取引するフリーランスや協力会社を「パートナー」と呼称しますが、本記事中では説明のために便宜、外注(外注先)などの用語を使用している箇所がございます。



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