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下請法のわかりやすい解説!基本とポイントを押さえた適切な対策法

  • 下請法

下請法は、優越的な地位にある事業者が発注者、個人・フリーランスや小規模な事業者が受注者として業務を受託した場合に適用される法律です。発注者が優越的な地位を濫用して、代金支払を遅延させたり、不当に安く業務を行わせたりということをさせないよう、禁止行為が明確化されています。ここでは、下請法のポイントをわかりやすく解説します。



下請法とは?目的や概要を簡単に解説

下請法は、親事業者による濫用行為を取り締まる法律です。
ここでは、下請法の概要について、わかりやすく説明します。

・下請法の目的は下請事業者の利益保護を図ること
・下請法における親事業者の義務と禁止事項
・下請法違反、するとどうなる?勧告と公表、課徴金や罰金も?

順を追って見ていきます。

 

●下請法の目的は下請事業者の利益保護を図ること

親事業者から業務委託を受けている下請事業者は、取引のあらゆる場面で立場が弱いものです。

下請事業者は、親事業者から理不尽な要求などの濫用行為を受けても、泣き寝入りするケースが多くあるでしょう。

下請法は、こうした親事業者による濫用行為を取り締まることで、下請事業者の利益を保護することを目的としています。(下請代金支払遅延等防止法第1条

コンプライアンス重視が叫ばれるなか、下請取引の公正化を図るため、親事業者は下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」)の遵守徹底が求められています。

 

●下請法における親事業者の4つの義務と11の禁止行為

下請法は、下請取引を公正にして下請事業者の利益保護を図るため、親事業者に4つの義務と11の禁止事項を課しています。(下請代金支払遅延等防止法第3条〜第5条

・親事業者4つの義務

1.書面の交付義務
2.支払期日を定める義務
3.書類の作成・保存義務
4.遅延利息の支払義務

 

・親事業者11の禁止行為

1.受領拒否
2.支払遅延
3.減額
4.返品
5.買いたたき
6.物の購入強制・役務の利用強制
7.報復措置
8.有償支給原材料等の対価の早期決済
9.割引困難な手形の交付
10.不当な経済上の利益の提供要請
11.不当な給付内容の変更、やり直し

 

●下請法、違反するとどうなる?勧告と公表、罰金も!

親事業者が下請法違反がないかを取り締まるため、下請法違反以下のようなペナルティが用意されています。

調査・検査
勧告・公表、指導
親事業者による改善報告書の提出
親事業者が勧告に従わないときは排除措置・課徴金納付命令

 

調査の結果、公正取引委員会が必要と認めた場合、下請取引について、親事業者(または下請事業者)から報告させ、検査します。(下請代金支払遅延等防止法第9条)検査の結果、下請法違反が認められた場合、公正取引委員会は、親事業者に対し、勧告・公表、指導を行います。

勧告の内容は、「違反行為の取りやめ」「下請事業者における不利益の原状回復」「再発防止措置の実施」などです。勧告とともに、公正取引委員会のサイトで、親事業者の企業名、違反事実の概要が公表されます。

公正取引委員会は、親事業者に改善報告書の提出を求めますが、親事業者が勧告に従わない場合、排除措置・課徴金納付命令がなされます。下請法第3条、5条(下請代金支払遅延等防止法)における親事業者の義務と禁止事項に関する違反がある場合、最高50万円の罰金刑が親事業者・行為者に課される可能性があります。

(参考)公正取引委員会:「下請法勧告一覧


下請法の対象の取引かどうか?4つの委託業務

下請取引は、親事業者から下請事業者に対する委託業務が対象ですが、下請法の対象となる取引は、次の4つの委託業務です。ここでは、各々どのような取引が対象であるか解説します。

・製造委託
・修理委託
・情報成果物作成委託
・役務提供委託

順を追って解説します。

 

●発注者と受注者の資本金の額により下請法の適用が決まる

下請法の対象取引は、4つの委託業務に分類されています。

前提として、下請法の適用は「資本金の額(格差)」によって判断します。

考え方としては、資本金の額が大きい会社から小さい会社(フリーランスなどの個人事業主含む)に業務委託する場合に、下請取引とする区分方法です。発注者となる親事業者の資本金が1千万円を超える場合は、以下に説明する4つの委託業務のいずれかに該当すれば下請法の対象となる可能性があることに注意が必要です。

 

●製造委託

下請法の対象となる製造委託とは、物品の販売、または製造を行う事業者が、規格・品質・形状・デザイン・ブランドなどを指定し、他の事業者に製造や加工を委託することを指します。

具体例①:自動車メーカーが自動車部品の製造を部品メーカーに委託する

具体例②:電機メーカーが電気部品の製造を部品メーカーに委託する

 

●修理委託

下請法の対象となる修理委託とは、物品の修理を行う事業者が、修理の全て、あるいは一部を他の事業者に委託することを指します。

具体例①:自動車ディーラーが受託した修理を修理事業者に委託する

具体例②:自社の工場設備の修理を修理会社に委託する

 

●情報成果物作成委託

下請法の対象となる情報成果物作成委託とは、プログラムや映像コンテンツ、デザインなどの情報成果物の作成を行っている事業者が、その作成の全て、あるいは一部を他の事業者に委託することを指します。

具体例①:広告会社が広告コンテンツをコンテンツ制作会社に委託する

具体例②:デザイン会社がデザイン制作を個人事業主に委託する

 

●役務提供委託

下請法の対象となる役務(サービス)提供委託とは、運送やビルメンテナンス、顧客サポートなど各種サービス提供を行っている事業者が、そのサービス提供を他の事業者に委託することを指します。

具体例①:自動車メーカーが保証期間内の点検を自動車整備事業者に委託する

具体例②:コンサルティング事業者からコンサルティングサービス業務(情報成果物作成を伴わない)をコンサルタントに委託する

(参考)公正取引委員会:「ポイント解説 下請法


しないと違反!?親事業者が対応すべき下請法4つの義務をわかりやすく解説

下請法で定められている親事業者の義務。この義務を怠ると下請法違反として、公正取引委員会からの勧告や公表、場合によっては罰金刑や課徴金が課されるおそれもあります。
ここでは、親事業者が対応すべき下請法の義務を次のとおり説明します。

・知っておくべき60日ルール!間違いやすい起算日や支払いサイトの落とし穴
・遅延利息は14.6%!知るべき60日ルールとの関係
・メールや請求管理システムでもOK!?親事業者が発行すべき下請法3条書面
・2年間!?親事業者による取引記録の保管義務(5条書面)

順を追って見ていきます。

 

●知っておくべき60日ルール!間違いやすい起算日や支払いサイトの落とし穴

親事業者は、下請代金の支払期日について、物品やサービス提供を受けた日から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める義務があります(下請代金支払遅延等防止法第2条の2)。

起算日について、物品は、社内検品が終えているか否かに拘らず、納品された日が起算日となります。役務提供は、サービス提供を終えた日ではなく、開始日であることに留意が必要です。

支払いサイトについては、締め日から起算して1カ月を超える支払日とした場合に、結果として60日を超えることがあります。

【支払いサイトが違法の例】支払いサイトが20日締め・翌月末払いのケース

5/21を起算日とした場合、6/20締め・7/31支払いとなり起算日から60日を越えることとなります。

そのため、下請法の対象となる親事業者は、支払いサイトについて、下請事業者に対する締め日から支払い期日までの間を1ヶ月以内にする必要があります。(末締め・翌月末払いなど)

なお、親事業者が支払期日を定めなかったときは、「納品から60日経過した日」が支払い期日とみなされることに留意が必要です。

 

●遅延利息は14.6%!知るべき60日ルールとの関係

親事業者は、支払い期日までに下請代金を支払わなかった場合、起算日から60日を経過した日から実際に支払った日までの間、遅延利息を支払う義務があります(下請代金支払遅延等防止法第4条の2)。

遅延利息は年利14.6%で、未払い金額に対して日数に応じた利息の支払いが必要です。

なお、下請事業者と合意した支払い期日を過ぎていても、60日を経過していなければ年利14.6%の遅延利息は適用されません。

 

●メールや請求管理システムでもOK!?親事業者が発行すべき下請法3条書面

親事業者は、発注を口頭で行うことは認められていません。下請法で定められた事項全てを書面で発行する義務があります。

具体的には、発注時に下請法規則で定められた具体的事項の全てを記載した書面(3条書面)を直ちに発行する義務があります(下請代金支払遅延等防止法第3条)。

ただし、下請事業者が承諾している場合は、書面に代えて、メールや請求管理システムなどによる電磁的方法も認められています。ただし、メールの場合は、メールを送信しただけでは認められず、下請事業者がメールを受信する必要があります。

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●2年間!?親事業者による取引記録の保管義務(5条書面)

親事業者は、下請取引に関する取引記録について、必要事項を記載した書面(5条書面)を作成・保存する義務があります。保存期間は、2年間必要です(下請代金支払遅延等防止法第5条)。

書面に代えて、請求管理システムなどの電磁的記録によることも認められています。

請求管理システム「pasture」は、下請法5条書面が自動で作成・保存可能で、下請法対策に最適です。「pasture」の詳細はこちら。

(参考)公正取引委員会:「ポイント解説 下請法」「親事業者の義務


知らずは危険!親事業者の禁止行為、わかりやすい解説

下請法で規制されている親事業者の禁止行為。この禁止行為に違反すると、下請法違反として、義務違反と同様に、公正取引委員会からの勧告や公表等が行われるおそれがあります。
ここでは、親事業者がしてはいけない禁止行為について、違反事例も交えてわかりやすく解説します。

・これも不当!?知っておきたい不当な「受領拒否」や「返品」のケース
・合意してもダメ!?下請事業者に責任のない代金減額
・これも違法!?知らずにあり得る、親事業者の買いたたき
・気をつけたい、下請事業者への物・サービスの購入強制
・絶対NG!下請法違反となる下請事業者への報復行為
・知っておくべき!下請事業者の利益を不当に害する禁止事項

順を追って見ていきます。

 

●これも不当!?知っておきたい不当な「受領拒否」や「返品」のケース

下請事業者に責任がないにも拘らず、発注した物品等を受領拒否すること(下請代金支払遅延等防止法第1項第1号)、返品すること(下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第4号)は禁止されています。

違反例①:親事業者の都合による急遽の発注内容の変更で、予め決めた納期に物品等の「受領拒否」をした。

違反例②:下請事業者にて物品等の委託業務が完了したにも拘らず、親事業者の都合による発注取消により、物品等の「受領拒否」をした。

違反例③:親事業者が受入検査を行っていないにも拘らず、顧客からのクレームにより不良品が見つかったとして「返品」した。

違反例④:納品物等の瑕疵があった場合は6か月以内の返品が必要にも拘らず、6か月経過後に「返品」した。

 

●合意してもダメ!?下請事業者に責任のない代金減額

下請事業者に責任がないにも拘らず、発注時に定めた下請代金を事後的に減額することは全面的に禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第3号)。これは、たとえ下請事業者と合意があっても認められていません。「値引き」「協賛金」など減額項目や金額の大小を問わず、下請法違反の対象となります。

違反例①:販売拡大のための協力金として、下請代金から一定額を減額した。

違反例②:下請事業者と合意の下で単価引き下げを行ったが、過去の発注分まで遡及して単価を引き下げた。

 

●これも違法!?知らずにあり得る、親事業者の買いたたき

市場価格などと比較して、著しく低い下請代金を不当に定めることは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第5号)。

下請事業者は、親事業者の不当な要求を受けやすい立場にあるといえますが、親事業者による限度を超えた低価格を押し付けることを規制しています。なお、2022年1月に運用基準が改正され、下請代金にコスト上昇を反映しない場合も買いたたきに該当するおそれがあることが明記されています。

(参考・引用)公正取引委員会:「(令和4年1月26日)「パートナーシップによる価値創造のための転嫁パッケージ」

違反例①:親事業者の収益悪化に伴い、一時的に下請代金を引き下げることに合意していたものの、親事業者の収益改善後も不当に下請代金を据え置いた。

違反例②:原材料価格の高騰により、コスト上昇を反映するよう下請事業者から親事業者に申し出たが、十分に協議することなく一方的に下請代金を据え置いた。

違反例③:ボリュームディスカウントを前提とした多量発注の見積をさせ、その見積額を少量発注の単価に定めた。

 

●気をつけたい、下請事業者への物・サービスの購入強制

親事業者が指定する物品やサービスを強制的に下請事業者に購入・利用させることは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第6号)。親事業者や関連会社が提供する物品やサービスでない場合でも、規制の対象となります。

違反例①:下請事業者に、親事業者の関連会社が取り扱う保険に強制的に加入させた。

違反例②:親事業者の取引先のインターネットサービスの利用を強制利用させた。

 

●絶対NG!下請法違反となる下請事業者への報復行為

下請事業者が親事業者の下請法違反行為を公正取引委員会などに通報したことを理由に、取引停止や取引量の削減などの報復行為を行うことは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第7号)。

 

●知っておくべき!下請事業者の利益を不当に害する禁止事項

親事業者によって、下請事業者の利益を不当に害する行為は禁止されています。ここでは、下請事業者の利益を害する行為として禁止されている行為を説明します。

・有償支給原材料の対価の早期決済
・割引困難な手形の交付
・不当な経済上の利益提供要請
・不当な給付内容の変更、やり直し

順を追って解説します。

 

・有償支給原材料の対価の早期決済

親事業者が下請事業者に有償で支給した原材料等の対価について、下請事業者に責任がないにも拘らず、当該原材料等を用いた物品等の下請代金の支払期日より早い時期に決済することは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第2項第1号)。有償支給原材料の対価決済は、通常、当該支給原材料を用いた物品等と同時に行われるものであり、不当に早期決済することは認められていません。

違反例①:有償支給原材料を用いた物品等が納品されていないにも拘らず、有償支給原材料の対価を先に支払わせた。

違反例②:有償支給原材料を用いた物品等が納品されていないにも拘らず、他に注文した物品の納品時に、下請代金から未納品分の有償支給原材料の対価を先行して相殺した。

 

・割引困難な手形の交付

親事業者は、一般の金融機関で割引を受けることが困難な長期の手形を交付することは認められていません(下請代金支払遅延等防止法第4条第2項第2号)。繊維業は90日、その他の業種は120日を超える手形は禁止されています。

違反例①:繊維業の下請事業者に、手形期間が100日の手形を交付した。

違反例②:製造業の下請事業者に、手形期間が130日の手形を交付した。

 

・不当な経済上の利益提供要請

親事業者は、下請事業者に対し、金銭や労務提供等の経済的な利益提供を要請させることは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第2項第3号)。

違反例①:親事業者から協賛金として、下請事業者に金銭を提供させた。

違反例②:親事業者が行うべき業務について、下請事業者の従業員に従事させた。

  

・不当な給付内容の変更、やり直し

親事業者において、下請事業者に対して費用負担することなく、注文内容の変更や受領後にやり直しをさせることは禁止されています(下請代金支払遅延等防止法第4条第2項第4号)。

違反例①:親事業者の都合で注文内容を変更したにも拘らず、変更で生じた費用を下請事業者に負担させた。

違反例②:親事業者による条件変更で、すでに下請事業者に納品させた制作物のやり直しを費用負担することなく対応させた。

(参考)公正取引委員会:「ポイント解説 下請法」「親事業者の禁止行為


最後に

本記事では、下請法の目的や概要とともに、親事業者に課せられている義務や禁止事項について、具体例を用いてわかりやすく解説しました。

親事業者は違法意識がなく下請法違反を行っているケースも多くあります。とくに、2022年1月には、買いたたきなどの運用基準改正もされており、親事業者は、下請法の動向を常に留意する必要があります。

本記事を参考に、親事業者の義務や禁止事項の理解を深めるとともに、請求管理システムを活用するなど、下請法の遵守体制を整えましょう。

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監修者コメント

下請法は親事業者にさまざまな義務を課しています。違反すると世間に公表されるだけではなく、高額な遅延損害金をつけて代金返還させられる可能性もあります。買いたたきや支払い遅延などの禁止行為だけではなく法定の記載事項を網羅した書面の交付義務などもあるので、法律の定める内容を正しく知って対応しましょう。今後は中小企業にもますますコンプライアンス意識が求められる時代になっていきます。これまでは知識があいまいだった方も、これを機会にしっかり下請法上の規定事項を頭に入れて、安全な企業運営を行いましょう。自社のみでの対応に不安があれば、弁護士に相談してみてください。

 

■本記事の監修者
福谷陽子/元弁護士 兼 監修ライター

保有資格:司法試験合格、簿記2級、京大法学部在学中に司法試験に合格。10年にわたる弁護士実務経験とライティングスキルを活かして不動産メディアや法律メディアで精力的に執筆中。不動産については売買、賃貸、契約違反、任意売却、投資、離婚、相続、解体や許認可等、あらゆる分野に精通。

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