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パートナーとの信頼関係を築くコミュニケーションが何より大事ーークラウドソーシング活用の心得

株式会社イースマイリー代表取締役社長 矢澤修氏へのインタビューを紹介。

前回記事の「フリーランスへの業務依頼時の心構えと依頼方法」に続いて、本記事では「具体的な業務依頼時のポイント」に焦点を当ててお伝えします。

“認識齟齬や伝達ミスが起きないために、仕事依頼時のタイトルや内容の書き方にも工夫が必要” と語る矢澤さん。5つのポイント、①タスクのタイトル、②権利、③報酬、④納期、⑤応募条件について、順番にご紹介していきます。

タイトルに、ひと目見て内容がわかるキーワードをいれる!

ー まず、クラウドソーシングにおけるタスクタイトルのつけ方についてお話を伺えればと思います。

案件を探す際に「ライティング」で検索するとたくさんのライティング案件が出てきますが、その大半はタイトルに力を入れていないことが多いんです。例えば、「美容に関する記事」などタイトルの記述が極めて抽象的になっています。

逆に、「美容」の中でもジャンルが細分化された「プチプラコスメ」というキーワードがタイトル名に入っていたらどうでしょうか?

タイトル名に仕事内容が明確にイメージできるようなキーワードが入っていることにより、「この内容であれば自分でできるかも」と目に止まりやすい。また、しっかりとした知識のある人に案件を受けてもらえる確率が高くなります。

ひと目で内容がわかるシンプルなタイトルをつけることはスムーズな依頼を進める上で非常に重要であると言えますね。

ージャンル以外にもタイトルでこだわった方がいいところはありますか?

ジャンルに関するキーワード以外にも、「初心者・ビギナー歓迎」や「継続依頼あり」などのキーワードも有効です。

初めてでもできるかもしれないという安心感や、継続依頼がもらえるかもしれないというモチベーションを持って応募してもらえるという効果が高まるんです。案件によっては、「スペシャリスト・プロフェッショナル歓迎」と書くことでレベルの高いライターの目に止まりやすくするという工夫をすることもありますね。

それ以外にも、分量/単位および報酬額、依頼記事数、また税込みか税抜きかの記載も重要であると考えています。特に、報酬に関わる部分は、後で揉めたりしないように、規定を予め決め、細かく記載するようにしています。

長期的に良いパートナーと仕事をしていくためにも、依頼時の工夫は惜しまない。これが僕たちが普段から気をつけているところではありますね。

著作隣接権や著作人格権についてルールを明記

ー 納品物の権利に関してはどのようにルールを決めておけば良いでしょうか。

権利の明記やルールの設定、特に、デザインや文章などは「著作権」の権利の明記を行い、納品後の成果物の権利の譲渡を事前にしっかり了承してもらうように心がけています。

注意しておきたい権利としては、「著作隣接権」、「著作者人格権」、「実演家人格権」の3つです。

自身で制作した制作物に関しての権利を持ちたいという人は多くいますが、事前に納品物の権利の譲渡についても承諾の上で応募してもらうことをお勧めします。

報酬や納期、応募条件についても教えてください

タイトルの部分でも少し触れましたが、報酬はトラブルに直結しやすい部分。事前に認識の齟齬の無いように詳細を明記することが大切です。例えば、クラウドソーシングを使用する場合はシステム利用料や消費税が発生することにより、それらを差し引いた実際の受取金額についての金額表記が必要となるでしょう。

クラウドソーシングを通して実際に顔の見えない相手と仕事をする際には、どのように進捗管理を行うかを、事前にしっかりと決めておくべきです。また、予め納期やスケジュールを明確にしておく。そうすることで、望ましい作業ペースで仕事を勧めてもらえます。

ー 応募条件についてはどうでしょうか。

応募条件でもやはりなるべく詳細に書くことをおすすめします。どのようなスキルを持っていれば仕事がスムーズに進められるかを、仕事を振る側がしっかりと定義して、それを記載するようにするのが大事です。

手順としては、プロジェクト遂行に値するスキル・条件について最初にふるいをかけ、その後さらにクオリティチェックを行います。

例えば、仕事実績、制作実績などのポートフォリオ・発注業務の経験年数・使用するソフト、バーション、OS・対応可能な時間などについて細かく記載しておくと、業務完了までの工程がスムーズになります。特に、windows・macの違いやバージョンによっては互換性の無い場合もあるので事前にしっかりと確認しておきたいですね。

プロジェクトを成功に導く秘訣はコミュニケーションを大切にすること

ー 長期に渡り、信頼できるパートナーへの仕事依頼を行うためのポイントはどのようなものが挙げられるのでしょうか。

大きく分けると、「パートナーの実績や評価・スキルの把握」、「パートナーへの連絡時のコミュニケーション方法」、「パートナーのモチベーション管理」、「最適な報酬体制」が重要であると言えるでしょう。

まず、「パートナーの実績や評価・スキルの把握」に関してはパートナーの過去の実績や評価が1つの大きな指標になりますね。実績の積み重ねは、客観的にそのパートナーの信頼度にも大きく反映されるので大いに参考にして良いのではないかと思います。

また、仕事を依頼する際は事前に品質チェックテストを実施し、パートナーのスキルを把握しています。情報収集系の仕事の場合には、実際の情報収集をしてもらい、正確性とスピードを計測してます。イラストや朗読、動画編集の仕事の場合は、過去の作品およびサンプルなどを提出してもらい、スキルが求めているものに近いかを判断します。

ー 「パートナーへの連絡時のコミュニケーション方法」、「パートナーのモチベーション管理」についてはどうでしょうか?

僕らは、顔が見えないからこその思いやりのあるコミュニケーションのやり取りがモチベーションの向上に大きくつながり、より気持ち良く仕事をしてもらえると考えているんですよね。

ビジネスマナーに則った正しい言葉を遣うことや、パートナーの仕事の完成度や素早い対応などに対して褒める、認める、感謝するというアクションを的確に、そして必ずするようにしています。

また、忘れてはいけないのが、パートナーの業務が完了した後の担当者に対する即時の評価。具体的に良かった点などの記載をすることでフィードバックにもなり、長期に渡って良い関係性を積み重ねることができますから。

ー 仮に、納品物が求めるクオリティに達していない場合はどのような対応をとっていますか?

長く付き合っていると、だんだんと仕事のクオリティが落ちてくるパートナーの方もいらっしゃいますが、そのような場合はなぜそのようなアウトプットになったのかを逐一聞くようにしています。

その上で「納期がタイトで内容を簡素化してしまった」などの理由であれば、納期の延長を検討したりとお互いに納得のできる打開策を見つけることができるでしょう。

逆にそのような対策を打った上でも改善が見込めない場合は、継続を打ち切ることも検討しなくてはいけません。

ただ、どのような時も、縁あって一緒にお仕事をすることになったパートナーということは忘れません。相手の状況を把握し、コミュニケーションを大切にして仕事を進めていきたいと考えています。

編集後記

前回に引き続き矢澤氏へのインタビューの様子をお届けしてまいりましたが、この2回の記事で企業からパートナーへの業務依頼時の心構えやスキルなど多くのことを学んでいただけたのではないでしょうか。

フリーランスとして働く人が増えてきている中、企業にとってもどのようにフリーランスとのパートナーシップを築いていくかが今後の事業成長・業務効率化の鍵となってくるでしょう。

顔の見えない相手と仕事をすることに対して抵抗があるという企業担当者もまだまだ多いとは思いますが、記事をご覧いただくとわかるようにどのような業務でも思いやりやコミュニケーションが一番大切なスキルとなるのではないでしょうか。

矢澤氏のノウハウを参考に、まずは一度フリーランスの方にお仕事を依頼されてみることをオススメします!

| プロフィール

株式会社イースマイリー 代表取締役社長 矢澤 修様

大学では社会福祉を学んでいたが、より広い視点を持ってるようにインターネットの世界で10年間ビジネスを学び、その後、保育園をつくる夢と、子育てにおける社会課題を解決するべく株式会社イースマイリーを創業。同社では、動画制作、日々の情報収集や記事のライティング、文字起こしや翻訳など、様々なプロジェクトをこれまでに100プロジェクト以上、300名近いクラウドワーカーと仕事を行い、少人数のチームながら2年間で2,000本近くの動画を制作。その中で培ってきたアウトソーシングのノウハウを基に、企業の業務改善のコンサルも行う。

 

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