TOPお知らせ【カンファレンスレポート#4】「個人」の時代に戦える これからの組織のあり方 セッション4

【カンファレンスレポート#4】「個人」の時代に戦える これからの組織のあり方 セッション4

『TEAM UPDATE』正社員もフリーランスも。あなたの組織にダイバーシティを

2019年11月22日に、pasture(パスチャー)初のカンファレンスとして『TEAM UPDATE』を開催しました。フリーランス人口はどんどん増加(*1)。働き方改革により「副業」に興味を持つ社員は正社員の約9割にのぼります(*2)。もしかすると、うまく社外のメンバーを巻き込むことが、これからのチーム作りに重要になってくるかもしれません。どのようにチームづくりをアップデートしていくべきかーーアップデートされたチームとはどのようなものなのか。

4つのセッションのうち、この記事ではセッション4「これからの組織の作り方 ー個人の時代に戦える企業とは」の内容をレポートいたします。

モデレーターは藤吉 雅春氏、登壇者は設楽悠介氏、モリ ジュンヤ氏。フリーランスが多いとされるメディア業界のお三方の鼎談です。雑誌や書籍からウェブへ。正社員からフリーランスへ。フィールドを拡張してきたお三方に働き方やプラットフォームが変わっても戦えるこれからの組織やチームについてお話頂きました。

すでにフリーランスがチームメンバーにいる方も、これからフリーランスをチームに加えたいとお考えの方も参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。

 

今、社会や働き方にどんな変化が起きているか

 

藤吉氏(以下、藤吉):まずは「今、社会や働き方にどんな変化が起きているか」について、お二人のご経験をもとにお話を伺っていきたいと思います。まず、設楽さんいかがですか?

設楽氏(以下、設楽):僕は幻冬舎という出版社で「あたらしい経済」の編集長を務めながら電子書籍事業やコンテンツマーケティング事業や書籍編集なども担当し、それ以外にも4社で取締役をしています。また個人活動としてvoicyで配信したり、オンラインサロンを作ったりしています。仕事でフリーライターさんや編集さんとお仕事をしているのはもちろんですが、自分自身もここ1-2年ぐらいで色々な活動を行なっています。

今年、ゆうこす (菅本裕子)さんの著書『共感SNS』を編集したんですが、その過程で色々なインフルエンサーやYoutuberの方々を研究し、特にそのような分野から顕著に働き方の変化が生まれていると感じました。

今まで個人が影響力を持って仕事をするにはテレビや雑誌などのメディアに出る必要があったわけです。そのためにオーディションを受けたり、企画を持ち込んだり、事務所に所属したりする必要があった。例えばタレントさんなどは、そうやってメディアで認知を広げることで、出演料を上げていき、さらにCMなどのスポンサーをつけたり、講演会をしたりなど収益化していくというモデルだったと思います。つまり今までテレビなどのメディアは「出してもらう」場所だった。どちらかといえば、メディアと個人のパワーバランスはメディアの方が大きかったわけです。

設楽悠介/株式会社幻冬舎 あたらしい経済編集長:幻冬舎のブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済」を運営。同社コンテンツビジネス局で新規事業やコンテンツマーケティングを担当。幻冬舎コミックス、エクソダス等の取締役も兼務。また個人活動として「風呂敷畳み人ラジオ」等の数々のビジネスコンテンツの発信やオンラインコミュニティを運営。@ysksdr

 

でも今は個人でネットで影響力をつけることで、メディア側から「出てください」とオファーがくるような状況になっている。メディア側もインフルエンサーの個人として影響力を求めているわけです。つまり従来のタレントさん、とインフルエンサーなどがメディアに対するスタンスはだいぶ違ったものになりつつあります。もちろん現在は影響力をよりつけるためにメディアに出るという理由もありますが、とはいえ明らかにインフルエンサーのような個人とメディアのパワーバランスは対等に近づいてきていると感じます。

これはメディアとインフルエンサーの話ですが、こう言った変化は、メディアに限ったことではなく、様々な会社と個人にとってもこれから起きてくると思っています。

藤吉:影響力を行使するためのヒエラルキーが崩れてきて、働き方や組み合わせが変わってくるということですね。

設楽:そうですね。フリーランスと会社、会社員と会社の間も、このような変化が起きはじめていると思います。僕の周りでも、1つの会社に所属しながら他社で働いたり個人活動をしたりと、色々な仕事をしている人が増えてきています。例えば、同じ幻冬舎の箕輪厚介くんもいくつもの会社のコンサルをしたり個人活動もしていています。

藤吉:ここ1、2年で変わってきたのですか?

設楽:そうですね。ここ何年かで会社側の考えも変わってきているように思います。僕は普通のサラリーマンなのですが、自分の得意分野を出して行ったら「仕事しませんか」と他の会社から声をかけていただくことが最近増えてきました。その際昔だったら「転職しませんか」だったんですが、最近は「空いた時間に手伝いませんか、副業として働きませんか」というオファーになってきています。

藤吉:なるほど。続いて、モリさんにお話を伺いたいと思います。

モリ氏(以下、モリ):インクワイアという編集やメディアの運営を行なう会社の経営をしています。もともと、4年ほどフリーランスのライター、編集として仕事をしていました。その後会社化して、フリーランスの人たちでチームを作って、色々なプロジェクトをやっていくという働き方をしてきました。

モリ ジュンヤ/株式会社インクワイア 代表取締役社長:1987年生まれ、岐阜県出身。大学卒業後、2011年よりフリーランスのライターとして活動。スタートアップやテクノロジー、R&D、新規事業開発などの取材執筆を行う傍ら、ベンチャーの情報発信に編集パートナーとして伴走。2015年に株式会社インクワイアを設立。スタートアップから大手企業まで数々の企業を編集の力で支援している。NPO法人soar副代表、IDENTITY共同創業者、FastGrow CCOなど。

 

昨年から、会社で雇用もはじめたのですが、正社員もフルフレックスフルリモートなので、フリーランスと可能な限り変わらないワークスタイルを目指しています。

僕がフリーランスを始めた2011年は、今ほどフリーランスという働き方は一般化されていなかったのですが、ここ数年で変化があったと思います。インフルエンサー、YouTuber、インスタグラマーというワードが生まれたのもこの数年ですよね。パラレルワークや副業、クラウドソーシングのプラットフォームの成長なども、ここ4、5年の変化ですよね。

会社員とフリーランスの働き方の境目が溶けてきているように感じます。会社員だけど、別の場所でフリーランスとして関わっていたり。自分の時間のポートフォリオを考えやすくなってきています。

藤吉:少し嫌な質問をしますが、フリーの人たちと仕事をしていて、扱いずらかったり失敗することはないですか?

モリ:ほとんど無いです。もちろん、合う合わないみたいなことは、人と人のお仕事なので起こるかなと思います。フリーランスの方たちと仕事をするときは、まず相性を確認することが大切です。いきなり沢山の仕事をお願いするのではなくて、例えば月に10時間ぐらいのお仕事から始めてみています。

藤吉:フリーの方との付き合い方に興味がある方も多いと思います。出版業界はフリーの人が多いと思うのですが、設楽さんいかがですか?

設楽:フリーの方も多いです。場合によってはフリーランスの方が仕事のパフォーマンスが高いこともありますので、雇用形態は気にせずチームを組んでいきたいと思っています。

藤吉 雅春/Forbes JAPAN編集長:1968年生まれ。『Forbes JAPAN』編集長。著書『福井モデル - 未来は地方から始まる』(文春文庫)は、2015年、新潮ドキュメント賞採集候補作に。韓国語版はベストセラーになり、韓国出版文化振興院が大学生に推薦する20冊に選ばれた。他の著書に『ビジネス大変身!』(文藝春秋)など。

 

藤吉:なるほど。僕自身もForbes JAPANの取材で成功した方たちの話を聞いていて、成功の法則があると感じたのですが、それは相性の良いバディ(相棒)、チームを持てるかどうかということです。すごい人が1人だけいても成功しないんですよ。フリーの人とどうチームを組んで仕事をするかが大切だなと感じています。 

 

「個人」の時代に戦える これからのチームとはどんな組織か

 

藤吉:僕はずっとフリーランスで生きてきたので、正社員になるのは嫌だなと思ったのですが、実際に正社員になってみると、フリーとか正社員は関係ないなと。枠にとらわれない世の中になっていくと感じています。さて、設楽さん、「個人」の時代に戦える これからのチームとはどんな組織かについてお聞かせいただけますか。

設楽:キーワードは、「変われる組織」と「ゆるやかな分散化」です。

まず「変われる組織」についてですが、これからは普通にビジネスパーソンでありながら、他の会社を手伝うことが増えてくると思っています。インフルエンサーがメディアを選ぶようになってきたように、ビジネスパーソンが会社を選ぶようになっていくと思います。

そのような状況になると正社員だけでなくダイバーシティをもったチームを作れるように組織側が変わっていかなければいけない。すでに今でも多くのスタートアップは多様なチームを作り出してきています。それに続いて大企業などが「変われる組織」が作れるかが重要だと思ってます。

モリ:時代や環境に変わり続けられるっていうのが、一番リスクが少ないですよね。

設楽:ですよね。そして「ゆるやかな分散化」については、従来の会社という枠組みではない面白い組織がこれから増えてくると思っています。

例えばイーサリアムというブロックチェーンプロジェクトは、財団という組織はあるものの、基本的にはそれを開発するエンジニアは世界中に散らばって開発しています。分散化した組織で1つのプロジェクトを生み出しているわけです。ただし現在ではあまりにも組織を分散化しすぎると、意思決定やプロジェクトの進行に時間がかかってしまうこともあります。一体感と明確な指示系統を持って仕事のスピードや結果を向上させるには従来の高度成長にあったような会社の作りや攻め方も一つの戦法として正しかったなと感じます。

働き方が自由になっていく過程で、会社というような組織の枠組みも分散化していくべきだと僕は思ってますが、その分散化のバランスも大切だと思ってます。今のところゆるやかに分散化した組織が作れるようになるのが理想的ではないかと考えています。

モリ:どういう事業体で、何を目指している組織なのかをきちんと整理しておかないと、組織設計ができなくなりますよね。

設楽:最初の設計やルール作りが大切ですよね。

藤吉:続いてモリさん、いかがでしょうか。

モリ:キーワードは「シームレス」「アライアンス」「ホールネス」です。

リンクトイン創業者のリード・ホフマンの「アライアンス」という書籍に影響を受けているのですが、そもそも個人と会社の契約関係が、従業員として働くことが終わったら関係が途切れるっていうのはおかしいですよね。そこで仕事をしなくなっても、何かしらのつながりはあります。このような個人と組織の関係を前提にもっていると、いろいろ考えやすいなと思います。

そして「ホールネス」は人と人との関係だなと思っています。一緒に仕事をとしていた人が、次の仕事を頼むときに”あの人に頼もう”と仕事になったりしますよね。いつでもどこでも仕事ができる時代、仕事モードとプライベートモードの完全な切り分けは難しい。人間と人間の関係性を前提に考えていくことが理にかなっています。

うちでいうと、フリーランスは、スポットで仕事をする人、プロジェクトを1、2年やる人、組織運営のロールをもって仕事をする人、社員としてフルコミットしながら他で副業する人など、いろいろな形があります。

関わり方はその時の状況によって変化します。このような柔軟で「シームレス」な関係性が、先ほど話に出た「変われる組織」にとって大切なのではないでしょうか。

設楽:フリーの人との付き合い方で感じるのは、優秀な人は忙しいですよね。そういう人って、お金で誘ってもつれないんですよね。お互い共有できる理念や情熱で組むしかないと感じます。

モリ:フリーランスは機能価値で見られがちなのですが、その人が何を目指していきたいのか、仕事を通じて何を目指しているのかなどが共有されていると、金銭的な報酬だけではなく一緒にやろうと思ってもらえると思います。

 

優秀なフリーランスと付き合うための3つのポイント

 

モリ:優秀なフリーランスに時間を割いてもらうためには、3つのポイントがあると考えています。

一つ目は、先ほど話した「何を目指しているのか?」の共有をして一緒にやるということです。
二つ目は、一緒に仕事をしていく上で気持ちよく仕事ができるか。フリーランスの方も集まれる場などにきてもらって交流ができるなど、エンプロイーエクスペリエンス的みたいなお話です。

三つ目は、成長環境をどのように用意できるか。フリーランスは機能的価値で求められることが多いので「できること」で仕事が来ます。でも、それって成長しにくいですよね。人って「できないこと」に挑戦することで成長するのですが、フリーランスだとそういった機会があまりないので、そういう機会を作れると選んでもらえると思います。

設楽:今の話はフリーランスを取り入れていくために必要なことですが、そういう組織にしておいたほうが正社員の優秀な人も残ると思います。優秀であればあるほど、いろいろな働き方ができるので会社から抜けていく可能性が高いです。フリーランスに成長機会を、正社員には自由な環境を、両軸でやっていく必要があると思います。

モリ:昔は、一度身につけたスキルでずっと戦うことができましたが、今は新しいプラットフォームができたら、必要なスキルが変わることもあり、そのスキルが5年後、10年後に通じるかはわかりません。

個人としても自分をアップデートする必要がありますよね。そういったフリーランスが近くにいることで、会社組織にいる人も自分をアップデートする意識が高まるのではないでしょうか。

藤吉:最後になりますが、先ほど分散化というお話がありましたが、なかなか正解が見えにくいですよね。模索していくしかないのでしょうか。

設楽:そうですね、トライアンドエラーしながらですね。平成までのやり方をほどいていき、パフォーマンスを見ながらちょうど良い場所を見つけるのが良いかなと。

モリ:組織には完成形や、これが正解というのは無いと思います。自分たちのやりたいことや、いるメンバー、時代に合わせて実験をやり続けることが重要。うちも、いまオランダに行っている社員がいたり、ハーフコミットぐらいのフリーランスの方もヨーロッパにいるのですが、それも実験だなと。そうすることで「海外に行きたいので退職します。」ということはなくなりますよね。

オンラインベースで繋がっている人が増えることで、お互い気持ちよく仕事をするためのコミュニケーションの取り方についてもっと考えようと思ったり、強制的に変化がおきてきます。やってみないとわからないことが多いので、実験してみて失敗や成功を積み重ねていきたいです。

 

これからの組織のあり方とは

 

従来の会社に来て仕事をする正社員だけのチームから、フルリモートの正社員や、様々なバックボーンをもったフリーランスなどを含めたチームが増えてきています。また、SNS等を活用して、個人で影響力を持つことができる時代になりました。オンラインでいつでもどこでも仕事ができるようになった今、完全に仕事とプライベートを切り分けることは困難です。

そのような時代だからこそ、企業側も柔軟な対応ができるようにアップデートしていく必要があります。働き方の多様性を認め、正社員、フリーランスそれぞれへ「働きやすい関係」を築くことで、より良いチームを構築することができるのではないでしょうか。

今回のカンファレンスのテーマである「チームアップデート」について、とても参考になるお話をお伺いすることができるセッションでした。みなさんの自組織やチームの在り方を考えるきっかけになりましたら幸いです。

 

[参考文献]

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