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注文書・発注書の書き方を分かりやすく解説 – pasture

下請法が適用になる取引においては、親事業者(発注者)から下請事業者(受注者)へ注文書・発注書を交付する必要があります。そして、この注文書・発注書には下請法によって記載すべき事項が定められています。しかしながら、記載事項を正しく認識している担当者は意外と少なく、既存のフォーマットにささっと上書きして発行した注文書・発注書が「実は下請法に違反していた・・・」という例も少なくないようです。トラブルに発展する前に、注文書・発注書の書き方をおさらいしておきましょう。

 

 


■注文書・発注書とは?

企業(親事業者)がフリーランス(下請事業者)に発注するシーンを前提に、注文書・発注書について解説していきます。

そもそも注文書・発注書とは、相手方に対して「発注」「依頼」の意思表示をする書類のこと。下請法が適用になる取引においては、親事業者から下請事業者へ発注内容を明確に記載した注文書・発注書などの書面を交付することが義務付けられています。根拠になっているのが下請法第3条で規定されている、いわゆる「3条書面」です。

  • 下請法 第3条
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

下請法第3条は、口頭での発注や曖昧な取り決めによって生じうる下請事業者の不利益を回避するための規定です。下請法が適用になるかどうかは以下の記事で詳しく解説していますが、資本金が1,000万円を超える企業がフリーランスに発注する場合は、ほぼ例外なく下請法が適用になると考えてください。

>> 下請法とは?発注者側が守るべき義務と取り組むべきことを分かりやすく解説 – pasture

 

  • 下請法が適用にならない場合も注文書・発注書を発行する?

たとえば、資本金が1,000万円以下の企業がフリーランスに発注する場合は、下請法が適用になりません。そのため、注文書・発注書を交付せずに取引をしても法的に問題はありません。しかしながら、下請法が適用にならない場合でも、トラブル防止などの観点から注文書・発注書を発行しておいたほうが安心です。というのも、注文書・発注書を発行することで以下のような効果が期待できるからです。

▼「言った・言わない」のトラブルを避けられる

電話などの口頭のやり取りでは、言い間違い・聞き間違いや認識の相違などによって発注ミスや納品ミスが生じることも少なくありません。

注文書・発注書には、発注内容などの取引履歴を残す役割があります。注文書・発注書を発行していれば、納品や検収の段階になってから「こんな内容で発注していない!」「発注内容どおりに納品したはずだ!」といった認識違いが起きるリスクを低減できます。「言った・言わない」のトラブルを避け、フリーランスと良好な取引を続けていくには、下請法が適用にならない取引でも注文書・発注書を発行しておいたほうがいいでしょう。

▼フリーランスに安心して仕事をしてもらえる

下請法は、フリーランスなど下請事業者の利益保護を図ることを目的とした法律です。とはいえ、現実の取引に目を向けるとフリーランスは不安定な立場に立たされがちで、「口約束した案件は本当に発注してもらえるのか・・・」「提示した条件が合わずキャンセルになったのだろうか・・・」など、様々な不安を抱えているものです。

注文書・発注書は、「この仕事をあなたに発注したい」という意思表示をする書面です。フリーランスにとってはある意味、発注の確約とも言えるものなので、注文書・発注書があることで安心して取引をすることができます。フリーランスに安心して仕事に取り組んでもらうためにも、注文書・発注書を発行したほうが親切だと言えるでしょう。


■注文書・発注書の記載項目

注文書・発注書など、下請法で言う「3条書面」は、以下のとおり12項目の記載事項が定められています。

①親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)

②製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日

③下請事業者の給付の内容

④下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)

⑤下請事業者の給付を受領する場所

⑥下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日

⑦下請代金の額(算定方法による記載も可)

⑧下請代金の支払期日

⑨手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期

⑩一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日

⑪電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日

⑫原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法

※ 引用:親事業者の義務:公正取引委員会

注文書・発注書に様式の決まりはありませんが、基本的に上記の12項目はすべて記載されている必要があります。公正取引委員会・中小企業庁の「下請取引適正化推進講習会 テキスト」に掲載されている注文書の書式例は以下のとおりです。

この書式例は12項目をすべて記載できるようになっていますが、実務上は注文書・発注書や業務委託契約書を、3条書面に求められる記載事項を網羅するような形で作成するのが一般的です。

<下請取引適正化推進講習会 テキスト P.93より引用>

 

 

それぞれの記載事項について注意点を解説します。

  • 品名及び規格・仕様等

注文品や作業などの内容が十分に理解できるように記載します。下請事業者の知的財産権を発注の内容に含み譲渡・許諾させる場合には、譲渡・許諾の範囲を記載する必要があります。

  • 納期

注文品を受領する期日を具体的に記載します。

  • 納入場所

注文品を受領する場所を具体的に記載します。

  • 検査完了期日

検収締切制度、納品締切制度にかかわらず、検査をおこなう場合は必ず記載します。検査完了の年月日を記載する代わりに、「納品後○日」「納品後○日以内」と記載しても問題はありません。

  • 数量

発注する数量が1個の場合は、数量の欄は不要です。

  • 単価

発注する数量が1個の場合は、単価の欄は不要です。

  • 代金

下請代金は本体価格だけでなく、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」)の金額も明示するのが望ましく、たとえば、以下のような方法で記載します。

①本体価格と消費税等額分を区分してそれぞれの額を記載する。

②本体価格を記載するとともに同単価に消費税等額分(基本的には、消費税等の税率を乗じて算出した額)を加算した額を下請代金として支払う旨を記載する。

下請代金を、いわゆる内税方式として消費税等込みで記載する場合は、その旨を明確に記載する必要があります。また、下請代金から、下請代金を下請事業者の金融機関口座へ振り込む際の手数料を差し引いて支払う場合には、その旨を記載する必要があります。

  • 支払期日

下請代金の支払年月日を具体的に記載します。それができない場合は、支払制度を記載しても差し支えありません。ただし、「納品後○日以内」という記載は支払期日を特定できないので認められません。

  • 支払方法

下請代金を金融機関への口座振込により支払う場合、支払期日が金融機関の休業日にあたる場合に当該金融機関の翌営業日に支払うこととする場合は、下請事業者と合意のうえで、その旨を記載します。

 


■注文書と発注書の違いとは?

注文書・発注書の呼び方は、「注文書」と「発注書」が混在しているのが現状です。注文書と発注書は違う書面だと認識している方もいるかもしれませんが、法的な違いはありません。

しかしながら、業界の慣例や会社によっては使い分けているケースも見られます。よくある使い分けの基準は、物理的に形のあるものを注文する場合は「注文書」、物理的に形がないものや作業そのものを注文する場合は「発注書」というものです。

注文書と発注書、どちらを表題にして書面を発行しても構いませんが、もし企業内で使い分けのルールもなく注文書と発注書が混在しているようであれば、紛らわしいだけなので統一したほうがいいでしょう。

 


■注文書・発注書と注文請書・発注請書の違いとは?

注文書・発注書は上述のとおり、相手方に対して「発注する」という意思表示をする書面のことです。一方で、注文請書・発注請書は相手方からの発注の意思表示に対し、それを「引き受ける」という意思表示をする書面です。

①企業がフリーランスに対して注文書・発注書を発行する

②フリーランスが企業に対して注文請書・発注請書を発行する

①②がワンセットになっているのが分かりやすい流れですが、実務上は、注文請書・発注請書が発行されるケースはそれほど多くはありません。繰り返しになりますが、下請法が適用になる取引において、親事業者は注文書・発注書を発行する義務があります。一方で、下請事業者側に注文請書・発注請書を発行しなければいけないという義務はありません。

 


■注文書・発注書を書く際の注意点

  • 下請代金額が決まっていない場合

注文書・発注書の「下請代金額」には、下請代金の額を明記します。ただし、具体的な下請代金額を記載できない正当な理由がある場合は、算定方法による記載も認められています(例:工賃○円 × 所要時間数 + 原材料費(〇〇円))。

  • 毎回変わらない「共通記載事項」について

下請取引は継続的におこなわれるケースが大半です。そのため、支払方法や検査期間などの基本的事項が毎回変わらない場合は、これらの事項(共通記載事項)をあらかじめ別の書面によって通知することで、発注書を交付するたびに記載する必要がなくなります。

  • 注文書・発注書への押印は必要?

注文書・発注書には発行する企業の社印が押されているケースが一般的です。しかしながら、注文書・発注書への押印は必須ではなく、押印の有無によって注文書・発注書の効力が変わることもありません。ハンコを押す必要がないのにわざわざ押しているのは日本の商習慣によるところが大きく、ある意味、ビジネスマナーとして押印するのが慣例になっています。

なお、様々なビジネス書類の電子化が進むなかで、注文書・発注書もPDFなどの電子データで作成されるケースが増えました。この場合も押印する必要はありませんが、「電子印鑑」が押されるのが一般的です。※ 電子印鑑(デジタル印鑑)とは、パソコン上で画像データ化した印影を押印できる印鑑のこと

 


注文書・発注書の保管期間

注文書・発注書は取引に関する重要な証憑(しょうひょう)書類であり、法律によって保管期間が定められています。原則として、法人における注文書・発注書の保管期間は7年間で、個人事業主における注文書・発注書の保管期間は、青色申告か白色申告かを問わず5年間とされています。万が一、税務調査が入ったときにきちんと注文書・発注書を保管していないと、法人税の追徴課税を受ける場合もあります。

現在、注文書・発注書を「紙」で保管している企業が多いかもしれませんが、法的には紙での保管のほか、「マイクロフィルム」や「電子データ」での保管も認められています。注文書・発注書の保管期間や保管方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

>> 注文書・発注書の保管期間は?電子保存の方法を解説 – pasture

 


■まとめ~下請法に則った注文書・発注書でパートナーと安心の取引を!

企業が注文書・発注書を発行する際に、細心の注意を払うべきなのが「下請法」です。下請法をしっかりと理解し、「注文書・発注書に下請法に違反する内容が含まれていないか?」など、ガイドラインを作成してオペレーションに落とし込んでいく必要があります。加えて、注文書・発注書やその控えは、決められた期間、適切に保管していかなければいけません。

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