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【カンファレンスレポート#1】フリーランスを交えたチーム作りに必要なポイントとは セッション1

『TEAM UPDATE』正社員もフリーランスも。あなたの組織にダイバーシティを

2019年11月22日に、pasture(パスチャー)初のカンファレンスとして『TEAM UPDATE』を開催しました。フリーランス人口はどんどん増加(*1)。働き方改革により「副業」に興味を持つ社員は正社員の約9割にのぼります(*2)。もしかすると、うまく社外のメンバーを巻き込むことが、これからのチーム作りに重要になってくるかもしれません。どのようにチームづくりをアップデートしていくべきかーーアップデートされたチームとはどのようなものなのか。

4つのセッションのうち、この記事ではセッション1「フリーランスがもたらす、企業成長と多様性のあるチームの実現」の内容をレポートいたします。

モデレーターは西村創一朗氏、登壇者は西島悠蔵氏、 黒田悠介氏フリーランスとチームを作る上でのポイントや、時代の変化に対し、企業や個人はどう変化していくべきかなどのお話を展開くださいました。

特にフリーランスとして活躍する方々からみた企業のチーム作りのお話は、まだフリーランスとお仕事をされてない企業の方には参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。

 

フリーランスとチームを作る上でのポイント

 

西村氏(以下、西村):今回のテーマは、チームアップデートです。社員以外のフリーランスを含めたチームを作っていかないといけない、チーム2.0の時代がやってきています。

今回は、「フリーランスとチームを作る上でのポイント」と「時代の変化に対し、企業や個人はどう変化していくべきかについて、お話をお伺いしていきたいと思います。

 

議論メシを主宰されている黒田さんは、企業の中と外をつなぐ役割をされていると思いますが、フリーランスとチームを作るポイントをお伺いできますか?

黒田氏(以下、黒田):はい。今ご紹介いただいた議論メシは、色々な企業さんにディスカッションをしに行き、そこから新しい仕事をつなげていくという180名程のコミュニティです。

一度会って議論した上で、「この人となら一緒に仕事ができそうだな」と感じたメンバーが企業さんと契約してフリーランスとして仕事をするという仕組みです。

フリーランスとチームを作るポイントは、いきなり大きな仕事を任せることは難しいので、小さな仕事から初めて徐々に仕事を増やしていくのが良いですね。

西村:まずは小さく任せて、信頼関係ができてから大きな仕事を任せていくということですね。逆に、いきなり大きな仕事を任せて失敗した事例などありますか?

黒田:ありますね・・。例えば、コワーキングスペースを作るときにコミュニティマネージャーという仕事があるじゃないですか。「コミュニティマネージャーできます!」という人にお願いしたら、受付しかできなかったりとか。イベントはできるけど、コミュニケーションを生むのは難しかったり。

黒田悠介/議論メシ 主宰:「議論で新結合を生み出す」を活動ビジョンに掲げて新しい職業とコミュニティを生み出しているフリーランス。 1on1での対話型の課題解決「ディスカッションパートナー」を本業としながら、議論でつながるコミュニティ「議論メシ」を主宰している。

コミュニティマネージャーは複合的な仕事なのですが、それをきちんと伝えられなかったのが失敗した要因ですね。最初にしっかり要件定義しないとだめですね。

西村:なるほど。フリーランスでも社員でもそうですが、しっかりとジョブディスクリプションを明確にした上で任せていくことが大切ですね。

 

続いて、西島さんにお伺いしていきます。人事という立場で、人材採用やフリーランスとチームを組む一方でご自身も副業フリーランスとして色々な企業のプロジェクトに参加されているんですよね。「フリーランスとチームを作るポイント」をお伺いできますか?

西島氏(以下、西島):老舗鞄メーカーで人事を担当しながら、自身も6社ほどで副業しています。先ほど黒田さんのお話にあった通り、「どこからどこまでを仕事としてお願いするのか」を最初に決めておかないと、後から大変なことになりますね。

西村:今までフリーランスを巻き込んだチームをいくつか見てきたと思うのですが、成功したチームや失敗したチームは、どのようなものがありますか?

西島:「フリーランス」や「業務委託」とラベリングし過ぎないのが大切かなと思います。ひとつのプロジェクトを推進するメンバーとしてやっていく!という感覚が大切ですね。

西村:そうですね。フリーランスを採用する企業側とフリーランスで働く側の関係性は、すごく大切ですよね。僕の経験でも、成功しているチームは、社員、業務委託などの雇用形態にかかわらず、フラットな関係性でした。

西島:関係性づくりって本当に大切です。僕も以前いた会社でお願いしていた業務委託の方から「また一緒にやりましょうよ」とお声がけいただいて、今一緒にチームを組んだりしています。会社の枠をこえて、ずっと繋がっていけるっていいですよね。

 

フリーランスと良い関係性を築いていくために必要なこと

 

西村: フリーランスチームの立ち上げについてお伺いしましたが、それと同時にチームをいかに運営していくのかも大切ですよね。フリーランスにただ仕事を依頼するのではなく、良い関係性を築くためのポイントをお伺いできますか?

黒田:フリーランスは、色々な会社のやり方や評価の仕方などを経験しています。どのようなやり方にも対応はできるのですが、「どのようなやり方がいいですか?」と聞いてもらえるといいなと思います。お互いにすり合わせることで、良い変化を企業側にも与えられるんじゃないかなと思っています。

西村:やり方を押し付けるのではなく「うちはこうなんですけど、黒田さんはどんなやり方がいいですか?」とすり合わせてくれる姿勢ですよね。結果その会社のやり方になったとしても、「聞いてくれる」というスタンスが大切ですね。

西村創一朗/株式会社HARES CEO 複業研究家:1988年生まれ。大学卒業後、2011年に新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・人事採用を歴任。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業し、仕事、子育て、社外活動などパラレルキャリアの実践者として活動を続けた後、2017年に独立。独立後は複業研究家として、働き方改革の専門家として個人・企業向けにコンサルティングを行う。

 

黒田:そうですね。異分子としての役割もあると思っているので、いろいろ聞いていただければ、こちらからも良い提案ができるのではえないかなと思います。

西村:西島さんはどうですか?

西島:僕は、業務委託の方でも必ず1on1を行います。最初は仕事の話が中心ですが、回数を重ねていくと「今後のキャリアどうするの?」という話ができたり、一緒やっていく仲間として関係性が築けていけるようになっていきます。

西村:社員の方もフリーランスの方も、雇用形態問わずチームメンバーとして1on1の機会を設けているんですね。ちなみに、どのぐらい頻度で1on1を行われていますか?

西島:社員とは、毎週1時間行なっています。フリーランスの方はリモート作業なので、頻度はもう少し少なく、週1回30分か、隔週1時間でやっています。

西村:なるほど、フリーランスとも定期的なコミュニケーションを取られているんですね。

 

さて、少し視点を変えて黒田さんにお伺いしたいのですが、フリーランス側も良い関係性を築くために意識すべきことがあると思います。どのようなマインドでいるとチームとして機能しやすいでしょうか?

黒田:はい、2パターンあると思います。例えば、企業として「この業務をお願いしたい」という場合は、わかりやすくて、「自分はこんなことができますよ」とその業務にはまりにいけば良いですよね。

そうではなくて、異分子として、例えば「ジグソーパズルのピースではなくてジグソーパズルそのものを壊してください」みたいな場合もあります。そのような時は、「自分は何ができます」というわかりやすい価値だけではなくて、わかりにくい部分も言語化しておくことが大切だなと思っています。例えば、私がいると場が明るくなります。なので、新しいアイディアがどんどんうまれやすくなります。とか、そういうのもひとつの価値ですよね。

 

 

時代の変化に対し、企業や個人はどう変化していくべきか

 

西村:先ほどからお話しているように、社員前提のチーム1.0から、フリーランスを巻き込んだチーム2.0にバージョンアップされつつあります。ですが、まだ「そもそも会社の規定で個人には頼めない」企業なども多いですよね。黒田さん、「個人事業主には発注できないんですよ」という経験ありませんか?

黒田:ありますあります。大手企業さんは会社を経由しないとダメだったりします。でも、これって、フリーランスだけの話ではなくなってきています。

色々な企業さんとのディスカッション中で、「イノベーションハブを作りたい」とか、企業の外と中を曖昧にする動きが増えてきています。そこに出てくるのは、社員、フリーランスだけではなく、別のスタートアップ、アカデミック、地域の方など、ステークホルダーが沢山増えています。

そうすると、今までのかっちりした企業の論理は通じなくなります。企業の進め方、仕事の仕方などを柔軟にしておかないといけないですよね。

 

西村:続いて西島さんにお伺いしたいのですが、前職のスタートアップから、老舗の会社へ転職されて、企業文化が変わったかと思います。今の会社は、西島さんが転職される前から個人へ仕事を発注する文化はあったのですか?

西島:いえ、今の会社は個人へ発注する文化はありませんでした。「今までうちは個人に発注したことないんですよ」と法務にストップされたりしました。

西島悠蔵/老舗鞄メーカー 人事部人財開発課 課長:大学卒業後、ANAパイロット、リクルートにてキャリアアドバイザー、人事を経験。ベルフェイスで人事を立ち上げ経験を経た後に、現在老舗鞄メーカーにて新卒、中途採用のマネージャーとして勤務。人事コンサル等個人事業主としても数社担当。

 

でも、今はそういう時代じゃないですよね。僕らが一緒に仕事をしたい人が、会社に所属しているかどうかは関係ないんじゃないの?個人と仕事をするリスクってどのぐらいあるの?をつめていくと、意外と大丈夫なのではないかと。

あとは、「僕が責任とります!」と私の人事部門から個人への発注を始めています。自分のところで事例を作って、他のチームに波及していけたらなと思っています。

また、企業と個人だと発注側の企業が偉いとなりがちですが、そうじゃないですよね。企業側としては「やっていただいている」という姿勢。フリーランスや個人事業主の方も仕事が選べる時代になってきていますよね。だから、企業も選ばれるようにしないといけないですよね。

西村:優秀な人ほど仕事をどんどん断る。自分たちがやりたい相手としか仕事をしませんという企業や個人は増えていますよね。発注側も選ばれるようにならないとダメですね。

 

フリーランスを含めたチームを作り、企業成長を実現するには

社員だけではなくフリーランスを交えたチーム作りが必要になりつつある時代。今回お話いただいたフリーランスとの良いチーム作りのポイントは、以下の5つでした。

  • フリーランスだからという垣根を作らず、フラットな関係性を築く
  • 初めは小さな仕事から依頼して、徐々に大きな仕事をお願いしていく
  • 要件定義を明確に。最初にきちんとすり合わせをしておく
  • 1on1などの定期的なコミュニケーションをとり、エンゲージメントを高める
  • フリーランス側も、自身ができることや特徴を言語化して相手に伝える

また、企業側の意識としても「旧来の法人同士だけの仕事ではなく、柔軟に対応できるように変化していく」こと、「発注側も、フリーランスから選ばれるように心がける」という変化が必要になっていきます。これからの時代にビジネスを加速するには、フリーランスとの良好な関係づくりがとても重要になっていきそうだと感じさせるセッションとなりました。

 

カンファレンスのイベントレポートは各セッションのものを発信していきます。次セッションのレポートもご期待くださいね。

セッション2のイベントレポートはこちら

 

[参考文献]

フリーランスマネジメントツールはpasture(パスチャー)